少しでも安く良いモノを…でもしっかりとしたメーカー品が欲しいと思う消費者にとっては有り難い存在だ。通常価格で販売する店舗とバッティングしないように、アウトレットモールは郊外の車しか行けないようなエリアに拠点を構えることが多い。平日はガラガラ、そのマイナス分を土日祝日、年末年始でカバーするビジネスモデルで長年、営業をおこなってきた。
しかしメーカーによっては、あらかじめアウトレット専用に作ったと思われるような安っぽい作りの衣料があったり、格安価格で手に入ることがアウトレットの存在意義であるにも関わらず、「通常価格で販売する店舗と連動させる企画だから定価販売」と恥ずかしげも無く看板を掲げているような所も存在する。
アウトレットの店舗を出す意味が無いと思われる企画をおこなう根底には「衣料が売れない」ということに尽きる。技術革新と流通革新でコストが下がり、そして低価格で販売するアパレルへ消費者が集まり、さらに不況も重なり、今まで高価格で販売することにあぐらをかいていたメーカーは大打撃を受けた。
ファッションは好みだが、あまりにも人々が求めるモノとかけ離れるようなデザイナーやメーカーの「一方的なセンス」で多くのチャンスを逃し、アウトレット店に卸しても売れない…という悪循環が止まらない。
現場の販売員に対して負担をかけ、経費もギリギリまで削減しすぎた結果、何のサプライズも無い似たようなお店が集まる状態になっているのが今のアウトレットモールの姿だ。客の好みに合わない商品、何年も変わらない内装…ワクワク感を少しでも刺激できればお客の買いたい気持ちに働きかけられるはずだ。
本社の企画組が現場の意見を吸い上げ、客の高揚感を誘う仕掛けを作ることを祈る。現場では近すぎて逆に見えないことも多いからだ。
良いモノが安くなれば売れる時代はとうに過ぎた。アウトレットモールへ通う消費者の気持ちをしっかり掴むには、今までの方法ではいけない。