ところがルアンパバーンには「赤十字サウナ」と呼ばれる地元民御用達の施設があるらしいではないか。
サウナがあれば当然水風呂もあり、水風呂があるならもちろん湯船もあるはずだ。久しぶりにあの喉越しを味わおうと、ビアラオの瓶を片手に私はサウナへと向かった。
入場料は15000kip(200円くらい)。日本にある一般的な銭湯くらいの大きさの小屋の2階部分がサウナになっている。早速階段を上り受付でタオルと水着をもらう。広いロビースペースにはハーブティーやテレビがあり、半屋外の空間では夜風に当たりながら汗だくのラオス人達がくつろいでいた。
このロビーは男女共同で、サウナ室は別々。
サウナ室は5人入れば満員になってしまう程狭く、全体の規模からしてもう少し広くても良いような気もする。温度はというと、初め入った時は日本にはないくらいの、かなり高めの設定であったが、後日再び入った時は夏のビニールハウスくらいであった。どうやらその日の気まぐれで温度は大きく変動するらしい。
そして結論から言うと、水風呂も湯船もなくサウナオンリー。汗はトイレに付いているシャワーで流すという日本人としてはかなり味気ない感じだ。
サウナ上がりのビールはそれなりに美味かった。しかしそれ以上に印象に残ったのは盲腸の手術の跡(これはあくまで予想である)が日本では考えられない程大きいおじさんが、2人もいたということだ。それは腹から大蛇が飛び出てきたかのよう。少し気の毒に思うとともに、ラオスでは盲腸にならない方が良いな、と他人事のように考えた。
でもそのおじさんも、しっかりと若い女性のバスタオル姿を盗み見ていたので、「ああ、世の中は平和だな」と、なんだか安心してしまった次第である。
國友俊介
【プロフィール】
國友俊介 (くにとも・しゅんすけ)
旅×格闘技、アジアを自転車で旅をしながら各地のジムを渡り歩いている。目標は世界遺産を見ることではなくあくまで強い男になること。日本では異性愛者でありながら新宿2丁目での勤務経験を持つ。他にも国内の様々なディープスポットに潜入している。ブログ http://onkunion.blog.fc2.com/