「馬体の張りがすごくいいし、前走あたりとはまったくデキが違う」と言い切った。休み明けの大阪杯は2着に敗れた。春に予定している3戦すべて勝つつもりでいた師にとっては物足りなかったようだが、叩き良化型が59キロを背負ってクビ差2着に踏ん張ったのだから、底力は十分に示した。
その後は安田記念に的を絞った調整を続けてきた。最大最強の敵は女王ウオッカ。いくら牝馬同士とはいえ、好位から馬なりで7馬身差をつけたヴィクトリアマイルの内容は圧巻だった。あのスピードを捕らえるなら、ディープの切れ味をとことん磨きあげるしかない。
「だから、中間は瞬発力を強化するために、坂路でたっぷり乗り込んだ。ここ2週、時計が速かったし、しかも馬に余裕があった。それだけ状態がいいんだね」
5月20日には坂路800メートル51秒0の自己ベスト、同27日にも51秒6の好タイムを叩き出した。文句なし。師の言葉にウソはない。
牝馬2冠のブエナビスタが早くも凱旋門賞挑戦に向け動き出したが、ディープスカイも同じ夢を追っている。
「今回と次の宝塚記念を勝てば、フランスへ行こうとオーナーと約束している。ここは何としても結果を出したい」
まずは女王を倒し、国内最強へ。夢をしぼませるわけにはいかない。
【最終追いVTR】四位騎手を背に坂路で単走。800メートル53秒8→8秒9→12秒3を計時した。道中はセーブ気味。ゴール前で軽くステッキが2発入ると、重心を沈ませ真一文字にゴール板を駆け抜けた。馬体の張り、仕掛けられてからの反応は、ともに休み明けの前走をはるかに上回る。デキはパーフェクトに近い。