JR大阪駅に直結した大型店舗をオープンさせた三越伊勢丹ホールディングスは、リストラ効果も手伝って、9月中間期の連結営業利益が前年同期比10倍の90億円になった。他の百貨店も「高額商品が底堅く推移し、通期決算の上方修正が相次ぎそう」と業界関係者は打ち明ける。
とはいえ、日本百貨店協会が発表した全国百貨店売上高は、2011年11月まで5カ月連続のマイナスだった。どうやら、相手にしているのは金持ちばかり、というのが実情のようだ。
そうなれば、当然ながら各社の生存競争が熾烈になるのは避けられず、前出の業界関係者は「いよいよ食うか食われるかの最終戦争に突入し、大手百貨店は2つか3つに集約される」と大胆に予想する。不吉な兆しは既に、先の大阪三越伊勢丹で見られるという。
進出を決めた'05年当時は三越単体だったが、後に伊勢丹と経営統合したことで、店作りの主導権はファッションに強い伊勢丹が握ることになった。迎え撃つライバルは危機感を募らせ、大阪駅を挟む大丸梅田店や阪急梅田本店らは大幅増床での対抗を決め、ミナミの高島屋大阪店、近鉄百貨店阿倍野店も同じく増床に乗り出した。この迎撃シフトが完了すると、大阪市内の百貨店売り場面積は一気に従来の1.5倍に膨らむ。なかでも大丸と高島屋は、三越伊勢丹のオープンに先んじて増床を完了しており、まさに「臨戦態勢」の言葉がピッタリだった。
しかし、いざ蓋が開いてみると、予想外と言うべきか、三越伊勢丹は思わぬ苦戦を強いられることに…。
「大阪は、やはりキタの阪急、ミナミの高島屋の影響力が相当に強く、彼らが三越伊勢丹包囲網を組んだことで取引先が動けずにいます。魅力ある商品がなければ勝負になりません。皮肉なことに、同時オープンした隣接するJR西日本系のルクアの方が、低価格路線の旬のブランドを集めて若い女性に人気があります」(在阪担当記者)