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本当にあった怖い彼氏(2)〜絶対に忘れない思い出の作り方〜

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画像はイメージです。

相川陽子(仮名・26歳)

 過去に1年ほど付き合っていた彼氏がいました。最初は優しい所が大好きだったのですが、段々と自己主張がなく大人しいだけの人だと気がついてしまい、冷めていきました。それで電話で別れを告げたところ、「どうしても会って話がしたい」、「別れは受け入れるから最後に感謝の言葉を伝えたい」と言うのです。彼には貸していた本やCDもあったし、最後に話すくらいならいいかと、私は相手の部屋に行きました。すると彼は落ち着いた様子で私を出迎え、中へ案内してくれました。

 話の内容は、「今までありがとう」「感謝してる」というものばかりで、復縁を望む話題はなし。だから最初は安心していたんです。しかし彼がトイレに立ち、出てきたところで「陽子!」と背後で名前を呼ばれました。そして振り返ると、彼はカッターナイフを持って立ちすくんでいたのです。

 一瞬、私は別れ話に逆上した彼に刺されるのかと思ったのですが、次の瞬間、相手は刃の出たそのナイフを自分の口の中へ持って行き、まるで歯磨きをするかのように、ガチャガチャガチャ! と動かし始めたのです。

 彼の口からは唾液と共に大量の血が滴り落ち、その血痕が床を覆っていきました。私は最初、何が起こったのかわからず、しばらくその異様な光景に対し呆然としていました。しかしすぐに我に返り、止めに入ると、彼はその場に腰をつき「わふれないでね、、。僕のこと、わふれないで」と微かなトーンで言っていたのを今でも覚えています。怖くなった私はすぐにその部屋を飛び出し、彼とはそれから連絡を一切取っていません。

 たぶん彼は、最後にインパクトのある思い出を作ろうとしたのだと思います。あの人は付き合った時から、デートの際、私がその場所に行ったことがあるか等、その体験が初めてかどうかの思い出作りに異常な執着を燃やす人でした。そこで彼は、他人を傷つけるほどの度胸がないというのもあり、自分に刃物を向けて、私の肉体でなく精神に強烈な存在の証を植え付けようとしたのでしょう。それは彼自身の存在がなかったことにされないための、唯一の手段だったのかもしれません。

 今でもカッターナイフや歯磨きの時、あの時の恐ろしい光景を思い出すことがあります。なによりナイフと歯が擦れ、彼の口が血に染まっていく時の「ガチャガチャガチャ」という音が耳から離れません。

(取材/構成・篠田エレナ)

写真・Mike Saechang

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