最近の中国リメイク版といえば、フジテレビ系で放送されたドラマが多いという。2017年には、フジテレビとSMGピクチャーズ(中国・上海)が共同制作した『デート〜恋とはどんなものかしら〜』と『プロポーズ大作戦』が注目を浴びた。共同制作以外にも、『問題のあるレストラン』のリメイク版ウェブドラマが同年配信されている。
放送前から注目されていたが、中国版『プロポーズ大作戦』の視聴率は、同時間帯放送のドラマ作品の中で下位グループだった。中国最大のエンタメレビュー・コミュニティサイト「豆瓣(ドウバン)」のレビュー平均値も10点満点中3.8点と酷評されることに。中国版『デート〜恋とはどんなものかしら〜』はテレビ放送がなくネット配信のみで、レビューも4.6点と不評だった。
「中国版『プロポーズ大作戦』の脚本はほぼ原作通りだったのですが、野球部と花火大会など、日本の“青春エピソード”は中国人になじみがない。日中文化の違いから、中国の視聴者から共感を得るのが難しかったようです。さらに、11話の原作を無理やり32話に伸ばしてしまい、全体的に間延びしたと感じさせたようですね」(ドラマ評論家)
しかし、『アンナチュラル』には期待を持つことができる面もあるという。昨年2018年末に発表された、コミュニティサイトサイト「ドウバン」2018年の「日本ドラマの人気ランキング」で、1位に選ばれたのが『アンナチュラル』だった。また、同サイトでのドラマレビューの平均値も10点満点中9.3点と評価は高かった。米津玄師が歌う主題歌「Lemon」も香港の2018年3月19日付iTunes総合チャートで1位を獲得し、8月上旬に中国版CDをリリースしており、現地メディアが取り上げるほど人気を集めたという。
「『アンナチュラル』は中国で人気や評判が高いので、日本のテレビ局とのコラボ企画ではなく中国の制作会社がリメイク制作権を取得しました。その分期待値が高いといわれています」(芸能記者)
ただ、『アンナチュラル』のリメイクに対し、中国のSNSでは「原作に泥を塗らないで欲しい」「面白いオリジナル作品を書ける中国の脚本家はいないのか」「50話ぐらいあるクソ長くてつまらない恋愛ドラマになりそう」「お願い、Lemonのカバーはやめろ」となどと心配し批判する声が集まった。
中国のドラマ業界にも、日本と同様に「ドラマの原作不足」という問題が浮上している。それを受けて日本の話題作をリメイクする流れのようだが、話題作であればあるほど原作ファンからは不評を買う傾向だ。果たして、中国版『アンナチュラル』がどのような評価を受けるか、注目したい。