現在、大変な妖怪ブームが起こりつつある。妻夫木・柴咲の結婚が近いと言われるラブラブコンビがおくる手塚治虫・原作の妖怪映画「どろろ」の続編が公開されることが決まり、実写版「ゲゲゲの鬼太郎」の続編も製作されている。また、木曜日深夜に放送されている「墓場の鬼太郎」は、日曜朝の子供向けの鬼太郎とは違い、そのおどろおどろしさで大人たちからカルト人気を集めている。他にも妖怪ドラマ「しゃばけ」、アニメの「犬夜叉」「もっけ」などが爆発的な妖怪ブームをけん引している。2008年の日本は間違いなく妖怪ブームが吹き荒れているのだ。
このようにわれわれ日本人は、そもそも妖怪という化け物たちが好きなのである。「のっぺらぼう」「ぬらりひょん」「一つ目小僧」「三つ目小僧」「ろくろ首」「海坊主」「ぬりかべ」「こなき爺」「砂かけ婆」「雪女」「船幽霊」「河童」「天狗」「からす天狗」「座敷わらし」「鬼」「大入道」「小人」「ヤマタノオロチ」「九尾の狐」「化け猫」「犬神」「化け狸」「ムジナ」「あかなめ」「油すまし」「鬼火」「ひとだま」「狐火」「土蜘蛛」「キジムナー」「つちのこ(つちころび)」「ダイダラボッチ」など軽く30種類以上の妖怪の名前が出てくる民族など、先進諸国では日本ぐらいであろう。
それぐらい日本人と妖怪は密接に関係してきたのだが、妖怪「一反もめん」も、「ゲゲゲの鬼太郎」のレギュラー妖怪に採用された影響により、日本中で知られるメジャー妖怪となっている。この妖怪「一反もめん」が実際に平成日本の上空を飛んでいるとしたら、皆さんは、どう思うだろうか。
そもそも、この「一反もめん」は南九州で伝承されてきた妖怪である。しかし、漫画の影響だろうか。その実態はだいぶ間違えたイメージで広がっている。まず「一反もめん」はしゃべらない。間違っても「鬼太郎どん」とは言わない。ちなみに鹿児島の妖怪なので、アニメの中で使っている「ばってん」という長崎弁は不自然である。(笑)
次に手足は、はえていない。漫画ではキャラクターとして動かすために、水木しげる氏が機転をきかせ手足をデザインしたが、実際に目撃談に残されている「一反もめん」は、白い物体が飛行するだけであり、それが布なのか、生物のようなモノなのか、正体は不明なのだ。つまり、現代人の感覚で言うと変形UFOと呼んだ方がいいかもしれない。
この愛すべき妖怪「一反もめん」だが、今も南九州で目撃者が多いと言われている。事実、その写真が何枚か撮影されており、筆者の友人であるいたこ28号氏が主催した新宿ロフトの怪談ライブで、参加者から岐阜で撮影された「一反もめん」の写真を見せてもらったことがある。また、筆者の友人でUFO研究家の武良信行氏が、兵庫県の某山頂で撮影した「一反もめん」の連続写真がこれである。見ていただきたい、まるで越中ふんどしのような「一反もめん」が空飛ぶミミズのように、上空目指して飛んでいくではないか。これは「変形UFOではないだろうか」と武良氏が筆者に相談したのだが、筆者が「一反もめん」と名づけ一躍、マニアの間で有名になった写真である。
かつて、江戸や明治時代の人々が空を見上げ、異形の飛行物体を目撃した時に、妖怪「一反もめん」と名づけたのが妖怪「一反もめん」伝説の始まりではないだろうか。つまり、その妖怪と呼ばれた物体は、今で言う(UFOの変形バージョンではないだろうか)と筆者は推理しているのだ。迷信や伝承には、必ずそのもととなった事実が存在する。