もはや「紅白」と並び年末年始の国民的番組となりつつあるが、ネット上では「ただ走っているだけでは?」「途中から結果がわかりきっているのでつまらない」といった声も聞こえてくる。確かに復路は、往路の優勝チームが逃げ切れるのか、途中で追い抜かれるくらいかしか展開がない。さらに、下位チームは一斉スタートや繰り上げスタートがあるため、実際の順位がわかりにくい。これはひとつの正直な感想だろう。
「箱根駅伝は正式名称を『東京箱根間往復大学駅伝競走』といいます。開始年は1920年と伝統ある大会ですが、テレビ中継がはじまったのは1979年の第55回大会からです。当時は東京12チャンネル(現在のテレビ東京)で、3日のゴール場面とダイジェストのみが放送されていました。しかし、1987年の第63回大会から日本テレビが全編の中継を行うようになり、人気に火がつきはじめます。地味になりがちな画を面白くしているのは、日テレの演出力のなせる技でしょう」(放送作家)
日テレは年始の箱根駅伝にあらゆる力を注ぎ込んでいるといえよう。夏の『24時間テレビ:愛は地球を救う』の「チャリティマラソン」中継は箱根駅伝のリハーサルといった都市伝説もあるほどだ。
箱根駅伝がもともと地味な大会だったのは、出場校の問題もある。実は箱根駅伝は関東ローカルの大学駅伝大会なのだ。
「箱根駅伝の主催者は、関東学生陸上競技連盟(通称・関東学連)です。関東の1都6県と山梨県内にある各大学の陸上部で構成されます。当然ながら関東学連の加盟大学に進学しなければ、箱根駅伝には出場できません。青山学院大学の原晋監督は以前、『箱根駅伝の全国化』を提言し話題となりました。実際に2024年の第100回大会をめどに、出場校を全国に拡大する動きも見られます」(前出・同、※規約上は同地域の大学院・短期大学・及び高等専門学校の4学年・5学年も加盟可能)
「箱根駅伝」は中継で大学名が連呼されることで、出場校は同年の受験者が増加するといった話もある。宣伝効果は抜群なだけに、全国化を望む大学は多そうだ。