メジャー、ダンス何するものぞ。充実の4歳秋を迎えたデアリングハートはまさに今が旬。2連勝中の勢いを駆る絶好調娘が、こん身のデモンストレーションで2強食いを猛アピールだ。
「き甲が抜けて、胸前にもいい筋肉がついてきた」という藤原英師の言葉通り、春とは比べものにならないほどアカ抜けた好馬体。加えて、冬を迎えようとするこの時期に毛ヅヤも目を見張るほどの色つや。ひと目に「状態面は文句なし」というコメントが理解できる。さらに、今朝の最終追い切りではじき出した調教時計もまた絶品だった。牝馬とは思えぬ力強いフットワークで6F81秒8、上がり3F38秒2→11秒8を一杯にを計時し、報道陣から感嘆のため息を誘ったのだ。
「最近はレースを使ってもガタッとくることが少なくなった。先週もいい動きだったし、心配するようなところは何もない。以前はレースでパニックになる場面もあったが、精神面での成長も感じられるね。充実期?うん、そういうやつかもしれへんな(笑)」
師は満面の笑みで愛馬の順調ぶりに太鼓判。「具合がいいから、一時はエリザベス女王杯出走も考えていた」というだけに、デキに関しては何の心配もいらなさそうだ。
また、2連勝の中身も濃い。クイーンSは4角先頭の横綱相撲で完勝。前走の府中牝馬Sではディアデラノビア(エ女王杯3着)の猛追を完封した。レース前に師が「東京の1800mやろ。何か後ろの馬に差されるんちゃうか」と自信なさげに語っていたのを思い出すが、それ以上の走りをやってのけてしまったのだから、その成長ぶりは陣営の期待をすでに上回っている。
「今年は生粋のマイラーというのが、特に人気馬の中に少ない。中距離あたりがベストっぽいメンバーだし、ペースはある程度、落ち着くんじゃないかな。ゆったり進められれば、展開も向いてくるからね。結果の出ている京都なら」(同師)
3歳時には牡馬を相手にNHKマイルC2着の実績。あのラインクラフト(昨年のこのレース0秒2差3着)と接戦を演じたことからも、能力的に足りないわけがない。鞍上も主戦・藤田に戻るとなれば、一発の雰囲気がプンプンと漂う。