しかし、実際には出版各社が出展を拒否したところでブースのコマそのものに劇的な変動は生じておらず、今回の出展拒否によって減るブースは当初の約650ブースから3分の2程度に減る見通しという。
現状ではサンライズや東映アニメーション等の大手アニメーション制作会社は参加予定であり、出展数だけに絞って考察すればフェアそのものが破たんする事はない。
だが、出版各社のボイコットに加えて発生している大きな問題があり、漫画等を原作としているアニメーション作品も同様に出版社側からの、圧力とも呼べる意向により一切同フェアにおいて使用が出来ない状態になっている。
今のままでは、『ワンピース』や『ドラゴンボール』等コミックスを原作にした作品は一切使用不可能だ。国民的作品『サザエさん』も『ちびまる子ちゃん』も当然駄目。漫画だけではない。今日においてはライトノベル原作のアニメーション作品等も数多く制作されており、昨今のアニメーション業界において出版界との結びつきは想像以上に根強いものがある。
ネットでは、今回の条例とそれに派生した問題を揶揄して、「東京国際アニメフェア」のチラシ表面に掲載された各アニメーション作品一覧の中から使用許諾不可と予想される作品を塗りつぶしたコラージュした画像が話題になっている。結果、なんと実にチラシに掲載されている半分以上の作品が消えるのである。
このまま、「東京国際アニメフェア2011」を実行したとしても、中身がスカスカの、かつて前例がないほどに酷い催しとなってしまう事が目に見えている故のAJA側からの「実質不可能な事態になる」との表明なのであろう。
“アニメーションは日本の文化”と言われながら、近年は官民提携によって産業推進が行われている中国・韓国勢の追い上げたるや尋常ではなく、アニメーションに限らず、日本の映像産業全体において、国と企業が共に危機感を持ち結束していかなければならない時勢であった。
「青少年健全育成条例改正案」の内容そのものの是非に触れずとも、この条例に関連して、官民提携どころか、衝突をエスカレートさせるばかりの真逆の働きを推し進めてしまった石原都知事並びに都政の姿勢がもたらした混乱は、とても「東京国際アニメフェア2010」という催し一つでは収まらない問題なのではないだろうか?
<東京国際アニメフェア2011>
http://www.tokyoanime.jp/ja/