「笹川取締役はかなり疲れたのでは…」
報告を受けた関係者の1人がそう言う。
笹川氏は球団運営に関する説明もしてきたが、その内容はちょっと驚きである。
まず、「プロ野球は144試合の公式戦が行われ、うち半分を主催しなければならない」という、初歩的な説明から始めなければならなかったそうだ。さらに、同じ関東地区の巨人、ヤクルト戦なら監督以下選手は自宅から通えること、中日、阪神、広島が主催する試合では宿泊ホテルを押さえなければならないこと、それに関連し、交通手段の予約や道具運搬、ユニフォームのクリーニング手配はどうすればいいのかも説明しなければならなかった。
「質問された以上、笹川取締役も回答しなければなりません」(前出・同)
独学でも勉強できそうな範疇だが…。
同グループが「買収準備プロジェクト」を設立したことはすでに報じられている。球団経営に関しては「初めて」とはいえ、球団経営策はかなり遅れていると見ていい。
もっとも、この段階で全てを判断するのは早合点であり、大手企業の人材と組織力を持ってすれば、精鋭集団と化す日はそう遠くないだろうが…。
「近年、買収されたプロ野球球団を見れば分かる通り、球団職員は残留しています。TBSからの出向役員は帰還するでしょうが、大きな混乱はないと思う」(球界関係者)
また、住生活グループ側は人事権を握りたいとし、監督人事にも着手する可能性も示唆している。
「住生活グループ側は『年末までに(決める)』という言い方をしています。年末といえば、新人選手、トレード、外国人選手などチーム編成権もほぼ終わっていなければなりません。選手の契約更新はどうなるのか…。時間がないのは分かりますが、監督を交代させる意志があるのなら、早めに動かないといけません」(前出・同)
過去、プロ野球球団を買収した企業は、2年目に監督人事に着手することが多かった。野球協約上、新規参入企業は11月のプロ野球実行委員会とその後のオーナー会議で承諾を得なければならず、12月の人事刷新は事実上不可能だからである。住生活グループが「年末」と言っていることからも“出遅れ”は否めないが、本当に監督人事にも着手するとしたら、外部OBの力を借りなければならない。
「そのときは、横浜OBだけではなく、TBS系列のプロ野球解説者も候補に入ってくるでしょう」(同)
密かに佐々木主浩氏の動向もマークするメディアも出始めた。尾花監督も歯がゆい限りだが、佐々木氏も混乱時に担ぎ出されるのは、本意ではないだろう。買収問題の佳境はこれからが本番である。