その概要を政治部記者がこう伝える。
「小渕氏の辞任騒動は、複数の後援会が'07年から'11年までの間に後援者から会費を徴収し、都内の明治座で観劇会を催したことが発端。食事代+入場料込みの劇場への支払額が、徴収額よりトータルで5330万円も多かったことが、公職選挙法の有権者への寄付行為に抵触するとマスコミに叩かれ、閣僚辞任に至ったのです。ただ、小渕氏の公設秘書が事務責任者なら、今後刑事責任に問われる確率も高く、連座制の適用で小渕氏の当選自体が無効となる可能性も出てきているのです」
ちなみに、騒動勃発後には地元から「会費は1万2000円前後が徴収された」との声が上がっているという。だが、仮に集められた会費が少額記載されていた場合には、今度は政治資金規正法違反に問われる恐れがある。まさに前門の虎、後門の狼といった具合で、小渕氏は逃げ場を失った状態に置かれているのだ。
政治部記者がこう続ける。
「しかも、彼女への疑惑はこれだけではない。後援会が'05年から'11年に行った東京ドームでの野球観戦会にも、同様の疑いが持たれている。こちらの徴収額は196万円。ドーム側への支払いは436万円で240万円の差額が出ており、これも後援会が補てんしたとすれば、買収行為が常態化していた可能性が高い。また、政治資金からベビー用品や化粧品を購入したといわれ、私的流用の疑いも浮上しているのです」
ただ、これは小渕氏が父親の故・小渕恵三元首相から受け継いだ“負の錬金術”だったとの見方もある。
というのも、今回疑惑の俎上に上った後援会の中心組織は元首相時代から存在しており、その一部は最近まで小渕氏の後援組織と認識されていなかったからなのだ。
政治部デスクがこう話す。
「疑惑噴出の発端となった『自民党群馬県ふるさと振興支部』は、もともと小渕元首相の政治団体で、同氏が急逝したために、長らく永田町では自然消滅したと見られていたのです。ところが、小渕経産相が誕生したばかりの今年9月に、一部マスコミがこの組織が群馬県高崎市に主たる事務所を置いて活動し、彼女の事務所や資金管理団体に莫大な金をもたらしていることを報じた。それが原因で、父娘相伝の錬金術の一端が明るみとなったのです」