松坂の復帰会見が行われた(12月11日)。「ライオンズに戻って来られて、ウチに戻ってきた感覚」と笑顔を見せ、「残り30勝」となった日米通算200勝も、「まだ諦めていない」と語っていた。しかし、今季も故障続きで勝ち星ゼロに終わったベテランの復活に懐疑的な声は少なくない。
「西武は新入団選手の発表会見を同12日に行います。わざわざ松坂だけ、個別に単独会見を設けたところから見て、とにかく大々的にアピールし、観客動員数も増やしたいのでしょう。優勝チームなのに、スポーツメディアにおけるライオンズの露出度は少ないですからね」(ベテラン記者)
一か月ほど前まで所属していた中日の関係者にも確認したが、故障した右肩は「ほぼ完治したはず」とのこと。ベテランなのでキャンプではマイペース調整も許されるはず。そうなると、松坂は開幕ローテーションに入ってくる。その後、中6日の間隔で投げ続けるかどうかは分からない。体力的な事情もあるので、その後のことは初登板の結果も見て、辻発彦監督が判断するのだろう。
先の“特別扱いの会見”だが、どのメディアも使っていたフレーズが「平成の怪物」。このワードと、「開幕ローテーション入り」を合わせて考えてみると、ヤバイ光景がさっそく見えてきた。
2020年、西武の開幕カードは北海道日本ハムファイターズだ。そして、第2節が千葉ロッテマリーンズとなる。日本ハムには同じく「平成の怪物」と称された清宮幸太郎がいて、平成最後の夏の甲子園を沸かせた吉田輝星もいる。
また、千葉ロッテには「令和の怪物」、佐々木朗希がいる。
「開幕カードは西武の主催ゲーム、第2節は千葉ロッテの主催。そう考えると、松坂の復帰マウンドは開幕第2戦か、第3戦でしょう」(プロ野球解説者)
開幕投手は考えにくい。ローテーションの柱は残留交渉に成功したニールか、今井、高橋だろう。
「清宮、吉田は松坂が夏の甲子園で日本中を沸かせた98年には、まだ生まれていません。映像でしか見たことがありません。だから、松坂が実際に投げているボールを見ると、遅いと思うはず。松坂も技巧派として変化球で打ち損じを誘うピッチングに変わりましたが」(前出・同)
清宮はまだ覚醒していないが、変化球には対応できている。剛速球に差し込まれることがあっても、コントロールミスで甘いコースにきたボールを一撃で仕留める技術は持っている。開幕カードで2人の「平成の怪物」が激突したら、清宮が松坂を踏み台にしてブレイクするなんてことになるかもしれない。
「吉田は秋季キャンプから激しいトレーニングを積んでおり、2年目のブレイクが期待されています。松坂との投げ合いになったら、試合後半になっても衰えない吉田の速球と、対照的なピッチングスタイルになるでしょう。」(前出・ベテラン記者)
今年はオリンピックの関係で例年よりも開幕戦が一週間ほど早い。年齢的理由で松坂が開幕に照準を合わせきれず、第2節に初登板がスライドされる可能性もある。千葉ロッテはお披露目を兼ねて、佐々木をいったん一軍登板させ、その後で二軍での体力作りに入るプランだという。「令和の怪物」が“時代の流れ”をまざまざと見せつけるのではないだろうか。
いずれにせよ、松坂は新世代の怪物たちの踏み台にされてしまいそうだ。(スポーツライター・飯山満)