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目の前で逃げられても打つ手なし 勾留執行停止中の被害は逃走し放題!?

 昨年8月に死亡ひき逃げ事件を起こして起訴されていた大阪市の会社員・横谷邦彦被告(43)が、1月25日、入院していた和歌山県の病院から逃走した。
 横谷被告は、心臓病の検査入院の必要があるとして、勾留の執行停止が1月23日から25日までの期間、許可された。ところが25日未明、監視していた県警捜査員に「たばこを吸いに行く」と言って病室を出た後、病院の駐車場に止めてあった弟の車を一人で運転、逃走したというのである。

 警察官の目の前での逃走劇だったが、現場では「逃げるな!」と注意するのが精一杯だったという。なぜ、警察は逃走を止める事ができなかったのか?
 「被告が“勾留執行停止中”だったからです。地検は、逃走を防げなかった理由について『勾留執行停止状態なので警察官に身体拘束などの権限はなかった』と説明しています。刑法では逃走罪という罪が定められており、“拘禁された者”が逃走すればこの罪にあたるが、今回のように一時的に“自由の身”となった被告については適用できない。つまり、目の前で逃走されても警官は捕まえることができず、指をくわえて見ているしかなかったわけです」(司法記者)

 このため県警では、免許が失効していたことを理由に道路交通法違反(無免許運転)で指名手配したが、そもそも勾留執行停止とは何か。元検察官の弁護士・牧野忠氏はこう語る。
 「勾留執行停止は、たとえば入院とか家族の葬式とか、そういったことで申し立てされることが多いですね。逃走の恐れがないなどの場合に許可されますが、期間をきっちり区切って、『何日の何時まで』と決められます。病気が治らないとかの場合は延長も可能です」

 勾留執行停止になると、どういう状態になるのか。
 「勾留状の効力が停止しているのですから、この間は自由の身になっています。一方、保釈は保釈保証金を払って自由の身になりますが、裁判に出てこなければそのお金を取られてしまう。勾留執行停止には保釈のように経済的なペナルティがありません。しかし、その期間が終われば勾留状の効力が復活します」

 ちなみに、1月27日には横谷被告が乗っていたと思われる車が大阪・岸和田市で見つかったが、依然として行方はわかっていない。まさに法の盲点をつかれたわけで、一刻も早い法改正が必要になるだろう。

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