現役医師で作家の海堂尊の小説『ブラックペアン1988』が原作の本作。とはいえ、主人公やストーリー展開など原作と異なる部分も多く、当初は原作ファンからの作品批判が懸念されたものの、現在となっては評判は上々。その理由のひとつに、登場人物たちのキャラクター性があるという。
「通常、原作と乖離した実写ドラマ・映画は嫌われる傾向にありますが、『ブラックペアン』は危険な患者を前に手術室で医者同士が言い争い、頻繁に手術ミスが起こるなど現実ではありえない展開も多く、原作とほぼ別モノ。もはや医療ドラマとして見ている視聴者も少ない。登場人物たちの行動や言動にツッコミを入れつつ楽しむという趣旨のドラマになっているようです」(ドラマライター)
実際、第9話でも現実離れしたシーンがあった。ドラマの舞台である東城大の外科のトップ・佐伯清剛(内野聖陽)が心臓の疾患で倒れ、緊急オペが行われる場面を描いた。タイムリミットが迫り、手術を断念せざるを得ない状況に陥った瞬間、手術ロボット・カエサルを操作していた高階権太(小泉孝太郎)は最後まで死力を尽くすことなくカエサルの操作を止めた。助教授で執刀医の黒崎(橋本さとし)は「神様でも悪魔でも何でもかまわん、どうか教授を助けてくださーい!」と叫び始めるなど、現実では到底起こり得ないような場面となった。
その後は天才外科医・渡海征司郎(二宮和也)が奮闘。遠隔でカエサルを操作し、オペを再開した。高階は渡海と通話しつつ、渡海の言葉を他の医師らに伝える形で“指示”。なぜか渡海もカエサルのアームを握り、二人羽織のような状態になった。これには視聴者も「笑いが止まらない!こんなに笑える医療ドラマ初めて」「ギャグ路線だよね?壮大なコントを見てる気分」「ゴンタただの操り人形になってる!ガンダムかエヴァンゲリオンか?」とツッコむ声が集まっていた。
外科医の誰かしらが失敗し、それを渡海が助けて大参事を回避するというストーリーを毎回展開している『ブラックペアン』。高階が失敗することも少なくなく、渡海が全て“尻拭い”している形。高階を“間抜けキャラ”と認定している視聴者も少なくない。「日曜の最後に爆笑させてくれる」と楽しまれており、早くも“ブラックペアンロス”がささやかれつつある。最終回はどのような展開になるのだろうか。