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巨樹巡り 善福寺川緑地とクロマツ=杉並区

 東京都杉並区の善福寺川緑地は、河畔のソメイヨシノが一斉に開花する時期は、区外からの見物客も多い。交通は、JR高円寺駅や阿佐ケ谷駅、もしくは、京王井の頭線浜田山駅などからバスが便利。今春は、寒さのせいで桜の開花は遅く、まだ咲いている梅もある。

 緑地の中で、善福寺川が台地を迂回するため曲がりくねっている場所がある。そこで川沿いからそれて、脇の坂道を上がると、尾崎熊野神社(杉並区)の石造りの鳥居が見える。境内から区内初となる縄文時代前期の住所跡が発掘された古社だ。

 尾崎熊野神社のご神木は、樹齢400年以上といわれるクロマツ。雄松とも呼ばれるクロマツは、アカマツと比べ幹が太い。黒褐色を帯び広大な樹冠面積に育つ。しかし、都内のクロマツは、環境の悪化により減少傾向にある。尾崎熊野神社のクロマツは氏子から厚く信仰されており、樹勢に優れ、境内を樹冠する都内有数の巨樹となっている。

 「尾崎」という地名には伝説があるそうだ。

 「おさき」とは、つき出た台地の突端部(小崎)を表す古い言葉。平安時代、源頼義が陸奥守・鎮守府将軍として安倍氏が牙城を築く奥州へ向かうさい、「源頼義勅を蒙り、奥州に向ひ給はんとて当所を過ぎ給う時、空中に奇雲たなびき」(『新編武蔵風土記稿』)とある。『大宮八幡宮縁起』によると、頼義が、善福寺川河畔の現在大宮八幡宮のある辺りを通過した際、源氏の白幡(はた)のような瑞雲が現れた。雲が見えた場所を「白幡」と名づけ、瑞雲の尾の辺りを「尾崎」と名づけたという。頼義は大宮八幡宮を勧請した。

 また、尾崎熊野神社のそばにある「三年坂」の名称にも、伝承がある。

 「三年坂」と呼ばれる坂は、京都や熊本をはじめ全国にあり、東京では江戸時代から、「三年坂」が旧東京市の地域内だけでも数か所あるといわれている。どの坂も、地域境界、神社仏閣、墓地らの付近にあることが特徴だ。急坂が多く、転んだものは寿命が三年に縮まるという。尾崎熊野神社付近の「三年坂」にも同様に言い伝えが残されている。(竹内みちまろ)

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