この事件では、中村被告の殺意が焦点となっている。中村被告のドライブレコーダーに被害者が追突され死亡した瞬間、「はい、終わり〜」という音声が入っており、これは殺意を表した言葉であると誰もが考えているが、当人はこれを「自分の人生が終わったということ」などと主張。これが伝えられると、「言い訳である」と怒りの声が殺到する。結局、一審の大阪地裁堺支部は、中村被告の殺意を認定し、懲役16年(求刑同18年)の判決。弁護側はこれを不服として、控訴していた。
3日の控訴審では、中村被告が「尊い命を奪ってしまい申し訳ない」と謝罪したものの、殺意についてはこれまで通り否定。一審の後に保険から約3000万円が遺族に支払われたことを理由に、減刑を求めた。
一方、遺族側からは被害者の母親が意見陳述。被告から謝罪がないことを明かし、「私たち家族の今も消えない怒り、深い悲しみに押しつぶされそうです」と心境を語り、「(息子の)未来を奪った罪をたった16年で償えるはずがありません」と、一審よりも重い判決を求めた。
中村被告は殺意を否定しているが、ドライブレコーダーには、被害者がバイクで追い抜いた瞬間から約1キロに渡り、クラクションを鳴らす、パッシングする、急接近するなどしており、明確な殺意を持っていたことは明らかと言われている。弁護側の主張は幼稚かつ短絡的と言わざるを得ず、弁護士にも批判の声が集まっている状況。また、中村被告は事故直前に飲酒していたこともわかっており、自動車の安全運転意識が著しく低く、今後また新たな被害者が出る可能性も指摘される。
未だに直接謝罪がなく、反省した様子も見られない中村被告。遺族の気持ちを考えれば、16年は重い罪とは言えないだろう。2審の判決は9月に言い渡される予定となっている。