原監督が新たなメークレジェンドを成し遂げようとしている。
日本一への王手が懸かった大事な一戦。原監督は、前日まで12打数1安打、8三振と不振にあえぐ李承●(●は火へんに華)を外し、打線を改造した。
5番・指名打者で阿部慎之助をスタメン起用。この采配が見事に的中し、阿部は2回に同点本塁打を放つ活躍を見せた。
守備でも中4日で先発したエース、上原浩治投手の調子が上がらないとみるや、4回からは山口鉄也にスイッチ。継投策に切り替え、8回まで無失点。その結果、7回の逆転劇を生み出した。
5日の第4戦で2本塁打4打点と当たっている中島裕之内野手が左ワキ腹、守備の要でもある細川亨捕手が右肩に違和感と、西武の主力が途中交代する運も味方した。最後は守護神マーク・クルーンが1点を失ったもののきっちり締めた。
采配がピタリと的中した原監督。試合後には「敵地で勝ち越して、気分よく東京ドームに帰って自分たちの野球をしたい」と7日の第6戦に向け気を引き締めた。
6年ぶりの日本一に王手をかけた巨人は、ある偉大な記録にもあと一歩と迫っている。
それは真のミスター超えだ。1996年、長嶋茂雄監督(当時)が巨人を率い、11.5ゲーム差をひっくり返しリーグ優勝。「メークドラマ」を完成させたが、実は日本シリーズでは敗れている。
また1963年、西鉄ライオンズ(当時)が14.5ゲームという逆転優勝記録を樹立させたが、この時も日本一を逃している。
今回、日本一の座に就けば、原監督が「名監督」として後世に語り継がれることは間違いない。「一戦一戦というスタイルを変えるつもりはない」とあらためて一戦必勝を誓った。栄光はもうすぐそこまできている。
○巨人投打かみ合い快勝
投打で“原チルドレン”が大活躍。華麗な逆転で王手をかけた。
巨人は初回に1点を先制されるが、2回に阿部の本塁打で同点に。3回に再び1失点を喫したエース上原を諦め、自慢の中継ぎ陣を投入。山口、越智らの小刻みな継投で追加点を許さなかった。迎えた7回、ラミレスからの5連続安打で、一挙4点を奪取。涌井秀章をマウンドから引きずり下ろすと、その後も2点追加。9回に1点は返されたが7-3で勝利した。試合後の原監督は好投した中継ぎ陣を「若い選手が自信をもって戦い、いい財産になっていると思います」と絶賛した。
勝ち越しのタイムリー三塁打を打った脇谷は「みんながつないでくれたので、後悔しないようにした。僕は大舞台に強いのかな」。本拠地でも大暴れか。