小倉はかねてから伊藤の能力を買っており、20年前から会うたびに「フリーになった方がいいよ」と勧めてきたようである。フリーになるアナウンサーは多いが、どんなメリットがあるのだろうか。
「アナウンサーはテレビ局の顔ともいえますが、あくまでも会社員です。そのため上司もいれば部下もいます。ある程度のキャリアを重ねてくると中間管理職として、アナウンス業務以外の仕事もこなさなければなりません。当然のことながら、他局への出演も制限されています。イレギュラー的な出演には会社の許可が必要となります。会社員のアナウンサーの場合、どれだけ行っても年収の上限は3000万円といわれています。それ以上稼ぎたい場合にはフリーを目指すことになりますね」(放送作家
)
さらに、フリーになればアナウンス業務以外にも活動範囲が広がる。
「テレビやラジオでしゃべるばかりがアナウンサーではありません。ドラマや映画に俳優として出演したり、あるいはイベントや結婚式の司会もこなせます。後者は、アナウンサーのアルバイトとしてはメジャーなものですが、会社では表向きは禁止されている場合も多い。しかし、フリーならばすべて自由にできるのがメリットですね。ただ、フリーでコンスタントに稼ぐには、帯レギュラーを獲得する必要があるので、時間の制約は依然として残るといえるでしょう」(前出・同)
フリー転身のタイミングは、管理職業務が生じる30代後半から40代はじめにかけてとされる。45歳の伊藤アナはフリーの機会を逸してしまったともいえるが、サラリーマンアナウンサーとして、小倉をどう支えて行くのか気になるところだ。