「昔、付き合っていた彼は手汗をかきやすい人でした。でも私は相手のことが好きならば、そんなことは気にしませんし、外では普通に手を繋いでいたんです。夏場なんて、互いの掌はビチョビチョになってしまうほどでしたね」
陽菜さんは恋人と手をつなぐことで、心理的にも癒されていたという。しかしある時、自分の手を見た時に異変を感じる。
「ふと、お風呂上りに自分の手の指を見てみると、イボがいくつも出来ていたんです。それは乾くと少し治まるのですが、濡れた状態だと浮かび上がってきてかなり気持ち悪かったですね。このことを彼に相談すると、相手も同じように手にイボが出来ていました。さらに驚くことを聞かされたんです。彼はネットカフェで働いているのですが、何十人もの客が使ったシャワー室のマットを掃除する時、素手で触った後は手を全く洗っていなかったのだとか。そこから感染したかもと、笑いながら言うのです。でも私は実際に感染しているわけじゃないですか。あっけらかんと話す彼にドン引きしました」
それから彼女は、何度も病院に通うこととなり、液体窒素でイボウイルスを焼くという痛みに耐えることとなった。彼の手が汗をかきやすいのも菌が繁殖する原因だったという。
「彼は外から帰ってきても、手を洗うところを見たことがなかったですね。男女交際において清潔感は重要です。手汗をかきやすい人は、せめて手を洗う習慣をつけてほしい。一度、イボに感染するとなかなか消えず、本当に厄介ですから」
その男性と別れて以降、手汗をかく人との手繋ぎは、敬遠するようになってしまったという。
取材/構成・篠田エレナ
写真・Chris