「シンガポールは(田中)勝春に福島記念のような気持ちで乗れと言ったぐらい。正直メンバーは弱かった」と加藤征師は笑顔で謙そんしたが、この結果はもちろんマグレではない。関東期待の若手トレーナーがしっかりとした戦略を立て、シャドウの背中を押した結果だ。
3歳時は気分良く逃げなければ勝てないモロさがあった。逃げに徹すれば条件級はもっと早く卒業できただろうが、あえて控える競馬を試み続けた。
「力関係が楽なところで競馬を覚えさせた。そのおかげでレースぶりに幅が出てきた」と師は振り返った。
確かにシンガポールは相手に恵まれたかもしれない。だが、大阪杯で演じたメイショウサムソンとの勝負から、侮れない力があることは明白だ。
しかも、「あのときはためすぎた」と悔いの残る展開だった。「今回は2番手から。早めにペースを上げるこの馬の競馬をさせる」と言い切った。
帰国後は着地検疫を兼ねて阪神競馬場で調整されているが、順調そのもの。「体が減ることなくいい感じ」と迫力ある馬体が光っている。
鞍上は人気薄のヴィクトリーを皐月賞馬に導いた田中勝。人馬の力を合わせれば、大駆けがあって不思議ない。
【最終追いVTR】美浦から田中勝騎手が駆けつけ、芝コースへ。終始、馬なりながらも小気味の良いフットワークが目を引いた。馬体もふっくら見せており、力は出せる状態だ。