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殺処分犬の復讐代行人気取り、10人殺害計画の全貌

 元厚生事務次官ら3人が襲われた連続殺傷事件で、警視庁に銃刀法違反容疑で逮捕された無職小泉毅容疑者(46)が練った計10人前後の殺害計画の全貌が25日までに明らかになった。犯行動機は、旧厚生省の所管する保健所に殺処分された犬の恨みなどとし、復讐代行人を気取っている。しかし、現実には所持金数千円と底をついており、生活苦から“仕事人”をかたって八つ当たり的凶行に走った疑いが強い。
 小泉容疑者の行動は常軌を逸している。供述にウソがなければ、動機は「昔、保健所にペットを殺され腹が立った」から。
 これだけの理由で、襲われた山口剛彦さん宅、吉原健二さん宅をはじめ厚生事務次官経験者10人前後の自宅住所を図書館で調べあげている。出頭時に使ったレンタカーからはサバイバルナイフなど計10本の刃物を押収。血の付着した犯行に使ったとみられるナイフは、犯行時に自分がけがをしないよう刃と柄のあいだにプラスチック製つばを取り付けていた。

 最初に山口さん宅を襲撃したのは「自宅から最も近かったから」と説明している。警視庁の調べに対し、元次官数人の具体名を挙げており、同容疑者宅から複数の白紙の宅配便伝票を押収していたことも新たに判明。レンタカーの中にも、包装紙に包まれ宅配伝票を張った段ボール箱が2つあった。うち1つは妻が襲撃された吉原さん宅宛ての伝票を張っており、もうひとつは別の次官経験者宛てだった。
 捜査当局は、自宅に保管していた白紙伝票に、連続殺傷事件と同様にあて先を書き込み、宅配業者を装って襲撃する計画だったとみている。
 業者っぽく見える作業着や配達伝票、偽の小包を用意して宅配便を装うなどち密さをうかがわせる一方、計画の全貌はずさん極まりない。警視庁の調べに、第三の犯行を実行しなかったことについて「(事件を受け)警備が厳重になった」と供述しているという。
 それにしても信じがたいのが犯行動機である。同容疑者の父親(77)は報道陣に、息子と犬にまつわるエピソードを思いつくまま話した。小学校高学年のときに飼っていた白い犬が死んだときに悲しんだこと。その後、家に迷い込んだ野良犬をかわいがっていたが、よく吠えるため、父親が他人に危害を加えることを心配して保健所で処分したことなど。父親は「あそこ(保健所)にいったらあの世行きですよ」と話した。
 押収された通帳残高は数千円。殺処分された犬の復讐代行人を気取ったつもりだったのか。

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