同世代の中では、最もレベルの高い新馬戦を勝ち上がってきた。昨年の4回京都6日目。アンライバルドは、その後、きさらぎ賞を勝利したリーチザクラウン、そして、阪神JF→チューリップ賞を連勝し、桜花賞候補ナンバーワンの呼び声高いブエナビスタを下した。
その実績はダテではない。続く京都2歳S(3着)はまさかの取りこぼしを演じてしまったが、前走の若駒Sでは、そのウッ憤を爆発されるかのような3馬身2分の1差の圧勝劇となった。
「以前までなら他馬を怖がるような面があったけど、今はそれも解消してきた。外から他馬にこられながら、折り合いを欠くことがなかった前走は今後に向けて大きな収穫だった」と杉村助手は高く評価する。
若さが抜けて、たぐいまれな能力をフルに発揮できるようになってきた。音速のダービー馬、日本版ラムタラと称賛された異父兄フサイチコンコルドをほうふつさせる終いの爆発力。これまで裏街道を歩んできた怪物が、いよいよ表舞台に登場する。
「今は心身ともに、どんどん良くなっている段階。まだ体が完成しきっていない分、伸びしろはこれからもっとある。デビュー当時は幼稚園児だったけど、一戦ごとにレース内容も良くなっている」
父ネオユニヴァースは2003年にこのスプリングSを勝利して皐月賞、そしてダービー制覇へと弾みをつけた。そんな偉大なる父が歩んだ蹄跡に続くことができるか…。
「良血馬らしくバネの利いたフットワークをするし、見た目もシャープでいい体つきをしている。ようやくクラシックにいける力をつけてきただけに、何とかいい結果を出して本番に向かいたい」
今年のクラシックは早くも同じネオユニヴァース産駒のロジユニヴァースが3冠を獲るのではないかと話題が集まっている。しかし、未対決のこの馬の存在を忘れてもらっては困る。一番の孝行息子をかけた戦いがヒートアップしてきた。