同報告書は対沖縄・尖閣諸島周辺での有事を想定し、日中両国の戦力を分析したものだが、そこにはなんと「軍事衝突の際は、日本による制空権の確保は困難」とする記述が存在したのだ。
自衛隊の関係者が言う。
「パイロットの熟練度は日本の方が上だが、この報告書はまず日中の作戦機数を比較。中国が2600機を保有しているのに対し、自衛隊が420機しかないことを挙げ、作戦持続能力の低さを指摘している。また、空自が敵のレーダーを探知して迎撃する対レーダー無人機などを保有していないことも指摘。基地が弾道ミサイルや巡航ミサイルの最初の攻撃で、大打撃を受けるとも記されているのです」
さらに、同報告書は日本の次期主力戦闘機といわれるF35の導入時期がハッキリしていないことや、日米同盟が有事に機能しない可能性も指摘。
「90%以上の戦略物資や原料を輸入に頼っている日本は持久戦に弱く、海路、空路の封鎖で輸入量を30%縮小させれば、戦力は完全に崩壊するなどと結ばれているのです」(同)
その辛辣な内容に、日本の自衛隊関係者らは、「詭弁だ!」「デタラメだ」と猛反発しているというが、恐ろしいことに一部では「あながち、そうとは言いきれない」との声も渦巻いているのである。軍事ジャーナリストがこう語る。
「自衛隊の作戦機数が少ないのは確か。加えて空自は空中給油機も少なく、持久戦に弱いのは明らかです。しかも、経済協力開発機構と国際通貨基金の最新データは中国が'24年に米国を抜き、世界一の経済大国になると断定している。それとともに軍事費が日本の10倍、20倍となり、近い将来にはこの報告書の内容が絵空事ではなくなる可能性も高いのです」
例年、中国軍は年明けに日本の領海や領空を脅かす行動を加速させるが、来年が尖閣強奪元年とならないことを祈るばかりだ。