まず、柴田氏は「大学の授業料が高騰して、それに応じて奨学金の借入金額が大きくなっている。それで返済が困難になった」と学費の高騰に原因があると話す。
柴田氏が示した文科省資料によると、1975年の国立大学の初年度にかかる費用は8万6000円だったのに対し、2016年には81万7800円と約73万円も高騰している。私立大学では、1975年に27万8261円だったのが2016年は113万1196円と、約85万円も高くなった。
ただ、柴田氏は借りる側の意識にも奨学金破産を引き起こす原因があると指摘。「だいたい高校3年の4月5月に奨学金の説明がある。その説明を受けて夏休み明けに書類を出して金額が決まっていくが、高校3年生ではなかなか理解できませんから、親が申し込みをほとんどしてしまう」と、学生が若さゆえに制度を理解できていないことを問題視した。
「本当は利用者本人がどんな制度なのか、しっかり勉強して『これは借金だ』『返済義務があるんだ』ということを理解しなければいけない。しかし実際は親が書類を書いてしまう」と柴田氏は説明。借りる張本人である学生の「借りる意識」が芽生えにくいのも問題の一つであると指摘した。
視聴者はインターネット上で「借りる側の意識が低いんだよ」「奨学金の返済が苦しいのは自業自得。借りたら返せ」「近ごろ、奨学金で大学って安易に考える学生が多すぎる」などと反応した。奨学金を借りる側に問題があると考える人は多いようだ。
一方で「賃金の低さを改善する必要がある」「奨学金が返せないような給与の会社が多いのが問題なのでは?」と国内企業の給料の低さを問題視する声も少なくなかった。
高卒の平均生涯年収は約2億4,000万円で、大卒の平均生涯年収は約2億8,000万円とも言われている。高卒のほうが、大卒に比べて4年ほど長く働いているにもかかわらず、4,000万円も差が付いてしまうのだ。
こういうデータを見ると、「借りたお金を返せないなら大学に行くな」と安易に切り捨てるのは安易なのかもしれない。借りる側の意識だけでなく、日本の教育環境や労働環境も一緒に考えなくては、解決の糸口は見つからないだろう。