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渋谷淳の渾身のローブロー

 WBC世界バンタム級王者、長谷川穂積(真正)が14日、同級4位のネストール・ロチャ(米国)を1回KOで沈め、防衛記録を9にまで伸ばした。今回は長谷川の今後を占ってみたい。

 9度の防衛は勇利アルバチャコフに並ぶ国内歴代2位タイの大記録。ファンは当然、具志堅用高会長の打ちたてたV13越えを期待するだろう。しかし、防衛記録に関して、長谷川は後ろ向きな発言を繰り返している。
 最大の理由は減量だ。本人が公に弱音を吐くことはないが「ここ数試合、足に力が入らない」と周囲にはもらしているという。V13を達成したいなら、あと4試合は必要だ。現状から考えて、これから2年もバンタム級で戦うのはさすがに不可能である。
 ならばすぐにでも階級を上げればよさそうなものだが、これがなかなか難しい。1クラス上、スーパーバンタム級のWBC王者は西岡利晃(帝拳)。同じ帝拳がプロモートしている長谷川と西岡の対戦に、同ジムの本田明彦会長は否定的だ。長谷川が「上げるならフェザー」と公言しているのは、このあたりの事情が関係いている。

 ではフェザー級への転向は可能なのか。こちらもWBCなら弟分である粟生隆寛(帝拳)が敗れたばかりで、再チャレンジの機会をうかがっている。WBAに目を向けても、すんなり挑戦できそうな情勢にはない。
 かねて希望しているラスベガス進出も手づまり…。これだけの実績を作りながら何とも気の毒ではあるが、ここは気持ちを切り替え、バンタム級最後の仕事に取り組んでほしい。世界2位、サーシャ・バクティン(沖縄WR)との防衛戦だ。
 ご存じサーシャは日本で戦うロシアンファイター。その実力は誰もが知るところで「もし長谷川に勝てるとすればサーシャ」の声は根強い。減量苦の長谷川に「サーシャに勝ってV10」を期待するのは酷だろうか。

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