「彼はテレビやインターネット動画のバラエティが大好きな人でした。そのため、番組の企画に影響されたドッキリを毎回仕掛けてくるのです。ある時は、私の部屋のクローゼットで待ち伏せして、帰宅後にいきなり大声で驚かせてくる時もありました。あの瞬間は、心臓が止まりそうになりましたし、合鍵を渡していたことを後悔しましたね。不審者が部屋で待ち伏せした後、暴行された事件なんてのもありましたし、笑えませんでした」
他にも佐奈さんは、自分がシャワーを浴びている間に、ドライヤーの中に小麦粉を入れられ、起動後に粉が顔にかかるというイタズラも仕掛けられた。そのため、部屋中に粉が飛び散り、掃除が大変だったこともあったという。
そんななか、あるドッキリが彼女を完全にドン引きさせた。
「私が1番嫌だったドッキリは、自室のベッドの上で起こりました。彼に体を触られている時、いきなり『あ、ヤバいヤバい! 佐奈の取れちゃった!』と急に大声で焦り始めたのです。そして彼の手を見ると、そこには赤い血の付いた肉片がありました。私は自分の体の一部が何かの間違いで、ちぎれたと思い『うそ、うそ、え……』と戸惑っていると、次の瞬間、彼が大きく口を開けて笑い始めたのです。私は、『またか』と思いました。どうやら彼はわざわざスーパーで生肉を購入し、血のりを付け、私の下腹部に触れた後、それを見せて怪我をしたように思わせたのです。そして明かりをつけると、そのくだらないイタズラのせいで、シーツには垂れた血のりがベットリと付いていており、さらにドン引きしました」
その後、彼からは何度も謝罪されたというが、佐奈さんは、「ここまでする彼にはもうついていけない」と思い、後日別れを切り出したという。
(取材/構成・篠田エレナ)
写真・City Foodsters