お触りするタイプのお客は、カラダを触らせないキャバ嬢をチェンジさせるように黒服に対して声を荒げることもある。その時の対応はお店によっても異なる。一見のお店でお触り行為を繰り返すお客なら、次回から入店拒否となるだろう。下手をすれば警察沙汰だ。
そこそこのお金をお店に落とす常連のお客の場合、黙認される場合がある。もちろん表向きは容認されているようだが、実質は異なる。お触り行為に対してしっかりと対応できるタイプのキャバ嬢を席につけている。お触りが過ぎると、席へつくキャバ嬢の選択肢が狭くなってしまうのだ。それはあまりにも、もったいないことである。
黒服が厳選したキャバ嬢は、触られっぱなしで黙っているのではなく、お触りするお客の手を嫌みなく払いのける。それでも触りたいお客は、スキを見つけようと必死である。
トイレに行く時は必ずキャバ嬢の肩や腰に手を回す。会計を済ませる時には必ず手を握る、といった具合にわずかな瞬間を逃さないのだ。
ベタベタと触られまくったばかりのキャバ嬢、サエミ(仮名)から話を聞いたが、やはり嫌悪感を隠せないでいる。客商売である以上、他のお客とのトラブルを次のお客へ持ち込まないのが鉄則である。だが、サエミは我慢ができないようで、愚痴を聞くことから会話が始まってしまう。口説く方向へ話を持っていくには余りにも時間が足りなかった。
お触りするお客がモテないのは当然だが、お触りされたばかりのキャバ嬢の愚痴を聞かされるのは他のお客なのだ。
(月山皇)