この大規模爆発が起きた背景について、ある軍事評論家はこんな見方を示す。
「実は、爆発が習体制への大規模テロではないかという情報が飛び交っているのです。中国最大の港である天津がマヒすれば、習体制の経済的ダメージは計り知れない。情報過疎に陥った国民や被害者遺族の間では不満が溜まり、暴動寸前だともいいます」
習近平政権は「虎もハエも同時に叩く」と、ライバルの江沢民元国家主席、胡錦濤前国家主席につながる官僚を“腐敗排除”という名目で徹底して潰してきた。それに対し、「江沢民一派が上海株大暴落などを仕掛けたのではないか」と噂されるなど、反発の気配が出ていた矢先の爆発事故だったのだ。
「今回、背後にテロの動きがあれば、双方の勢力が死滅するまで争う骨肉の争いや、さらなる大規模テロに弾圧という負の連鎖も生み出しかねません」(同)
内戦といえば、タイの首都バンコクで17日に発生し20人が犠牲になった爆弾テロも、現在の暫定軍事政権に対する反発ではないかと言われている。
タイでは、タクシン元首相派と反タクシン派の争いが深刻化。その機能マヒの隙を狙って、'14年5月にプラユット陸軍総司令官がクーデターで暫定政権を樹立した。
日米などは民主政治に戻すべきと提言したが、今も軍事政権撤退の方向は見えていない。
「プラユット政権は、欧米や日本がまともに扱ってくれないため、急ピッチで中国に擦り寄っています。そんな中、7月に入り中国新疆ウイグル自治区から弾圧を恐れてタイに逃れていたウイグル族の一部100人以上を中国に強制送還した。その日の未明、この措置に抗議してトルコ・イスタンブールのタイ領事館が襲われている。今回のテロも、そうした暫定政権の措置に不満を持つウイグル支持の過激派が絡んでいる可能性が大きい。そこで犯人拘束を急ぐ暫定政権が、インラック前首相派、つまりタクシン派の中の人間を犯人にでっち上げる可能性も高いのです。となれば、イスラム過激派、タクシン派、反タクシン派も含め、タイが内戦状態に陥る」(国際ジャーナリスト)
こうした各国の反政府勢力が結集し、“アジア大戦”が起こる可能性も否定できないというのだ。各地で燻る紛争の火種。いざ火の粉が降りかかったその時、安保法制に揺れる日本はどう対処するのか。