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郵政事業のチグハグさ 犠牲になる非正規社員

 日本郵政グループの郵便事業会社が、3月末で契約切れとなる非正規社員の契約更新をしない雇い止めによって、2000人規模の人員削減を行なう見通しだ。同社には約15万3000人の非正規社員がいるが、人減らしで経費削減を目指す。

 おかしな話である。郵便事業会社は昨年12月、非正規社員のうち約6500人を正社員化したばかりなのである。それであれば、正社員化しなければよかったのだが、これは政治主導で、やりたくなくてもやらなければいけなかったのが実情。

 郵便局会社は11年度の事業計画で営業損益が約110億円の赤字になる見通しを立てており、非正規社員の雇い止めの背景には経営不振がある。郵便物の減少、宅配便・ゆうパック事業の不振…。

 ゆうパックは昨年7月に旧ペリカン便と統合したが、これがスムーズにいかず、お中元時に遅配を起こし、信用を失墜。客離れにつながった。旧ペリカン便とトータルして見た場合、引き受け数は減少した。これを受けて、郵便事業会社はゆうパック事業のサービス縮小を決断。受付翌日の午前中に配達するサービスを、6月から一部地域で縮小する方針。このサービス見直しに伴い、追加で5月末で非正規社員を雇い止めする意向だ。雇い止めの対象となるのは、10年5月以降に雇用契約し、ゆうパックの仕分けや配達、コールセンターの業務に携わっている非正規社員の一部。統合時には、旧ペリカン便の非正規社員を吸収しており、これまたチグハグな印象をぬぐえない。

 経営不振となれば、犠牲になるのは非正規社員であるのは世の常ではあるが、今回、整理対象になった労働者にとっては、なんとも納得がいかないことであろう。ちなみに、日本郵便のアルバイト情報のホームページを見ると、現在も各支店では募集をかけている。どこまでいっても、チグハグだ。
(ジャーナリスト/落合一郎)

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