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「吉野家」急回復で仕掛ける危険な値下げ

 「不毛な消耗戦」と冷やかされてきた牛丼チェーンの値下げ競争が、ついに一つの転換期を迎えたようだ。

 1月11日に発表された吉野家ホールディングス(HD)の2011年3〜11月期の連結決算は、売上高こそ前年同期比7%減だったものの、経常利益は7%の増益、前年同期にわずか500万円だった純利益は、何と10億8200万円まで急回復した。
 「吉野家は同じHD傘下のステーキ店『どん』、うどんチェーン『はなまる』などと食材や備品の共同仕入れを積極的に行ってコスト削減を徹底させた。原価率の改善に加えて牛鍋丼の投入など、値下げが常態化している牛丼だけに頼らない戦略もうまくいった」(証券アナリスト)

 昨年暮れ、牛丼業界には「もう値下げ競争は限界ではないか」との観測が飛び交った。11月に吉野家、すき家、松屋が揃って値引きキャンペーンを実施したものの、これまでとは一変して3社とも前年割れとなっってしまった。ところが予想以上の急回復に自信を深め過ぎたのか、吉野家は松屋の後を追って1月25日から値下げキャンペーンを実施すると発表。今年に入ってからも続く松屋の値下げ攻勢への対抗策だが、前出のアナリストは辛らつに指摘する。
 「外食産業の基本は安さの魅力よりも品質、すなわち食の安全ということを忘れては困る。品質に対する自負があるならば、何もジタバタする必要はないのです」

 うまくて安い牛丼は、庶民にとって確かにありがたい存在だ。しかし皮肉にも「安いので、油断すると毎日になってしまう。あまり続くと、多少高くても他の店に行きたくなる」という声が本音でもあり、それが各チェーンを振り回している原因なのかも知れない。

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