そんなシチュエーションの中では、メンバーを見渡し、安田隆師がじっくり吟味、「とくに逃げにこだわる馬もいないようだし、有力馬のほとんどが追い込み脚質ですからね」とニヤリ不敵な笑みを浮かべるフィフティーワナーに目を奪われるのも無理はないだろう。
叩き2走目の仁川Sを定石通りに完勝。「どんな競馬になっても負けない」という絶対なる自信を持って登場した前走のマーチSがよもやの完敗3着。「ショックは相当に大きかった」と師はその胸中を吐露したものの、ふと冷静に敗因を分析すれば、「中山のダートで前半の3Fが36秒5は相当に速いラップ。勝った馬は向正面ではケツにいましたからね。しかも、カイバを全然食べずに当日はマイナス6kg。それに58kgのトップハンデ」と負けるべくして負けた極まりない悪条件。その条件下を勘案すれば、「むしろ、3着ならよく頑張っている方。負けて強しですね」の声も、決して、負け犬の遠吠えには聞こえない。
「シビアに見れば仁川Sの勝ち時計が平凡だが、上がり自体は速かったし、状態面や能力が2年前のアンタレスS時と変わっているとは思わない。そのアンタレスSは前半36秒2で飛ばしてラスト3Fを36秒1で上がる完ぺきな勝利。今回は地元競馬で体も前回よりはプラス6kg以上で出せる。前走のテツは踏むまいと一応チャレンジャー精神でぶつかりますが、結果を出せる自信はありますよ」
展開に泣かされたフィフティーワナーが、一人旅の展開で今回は笑う。