統一候補を模索する野党も似たようなもの。山本新党の勢いで野党地盤の浸食に怯えているのだ。『れいわ新選組』の勢いをネット系記者が解説する。
「同一歩調の小沢一郎氏と一線を画し、4月に立ち上げた『れいわ新選組』。当初はたいして話題にもならなかったが、山本代表が全国街頭演説で天性の演説の巧さを発揮してから、一気に支持層が増えたのです」
例えばこうだ。
「多くの国民は野垂れ死にしかない。国が壊れていくのを待ってますか。それを変えるのは政治しかない。力を貸してください!」
「戦争も紛争もないのに毎年2万人の自殺者が出る。この死にたくなるような世の中を変えたいんです」
「政権にデッドボールを当てにいきたいんだよ、顔面狙って」
山本代表は時に涙を浮かべながら訴える。その姿に聴衆もつられて熱くなる。
「それがネット拡散し、支持が拡大した」(関係者)
確かに、ネットの応援ツイッターは凄い。
「太郎さんの演説には心を揺さぶられる」
「れいわ新選組に寄付した。#山本太郎の演説動画に涙した。一緒に見た妻も泣いていた。今まで、税金以外に政治にお金を使うなんて考えたこともなかったし、家計に余裕があるわけでもないが、夫婦ともにごく自然に寄付しようという結論になった。頑張れ! 頼むぞ!」等々。
庶民にすれば、今の野党は顔ぶれもかつて政権を担って躓いた旧民主党とダブり期待できない。そんな中、熱く街頭で訴える山本代表に「こいつなら変えられるかも」と思う人が増えているのだ。当初、「どこまでやれるの」と疑問視していた全国紙、テレビ局も、ここにきて山本新党のパワーの本物度を認めざるを得ない状況だ。全国紙政治部記者が分析する。
「最初は冷めていました。ブレークの可能性を感じ始めたのは、5月末で寄付金が1億5000万円超という報告でした。お金は正直。支持が急ピッチで増えたということ」
4月の旗揚げ時、参院選に向け「1万人から1人1万円ずつで1億円になる」と寄付金を募った同党に対し、政治部記者たちから失笑が漏れた。それが2カ月弱で1億5000万円を突破。権力べったりの新聞記者らの顔色が変わった。
久米宏氏はラジオで東工大の中島岳志教授をゲストに迎え「山本人気はかつての小泉純一郎元首相が総裁選出馬時、田中真紀子元外相と街頭演説した際の人気に匹敵する」と語った。立川談四楼師匠や脳科学者の茂木健一郎氏ら著名人も続々エールを送っている。
「内田樹神戸女学院大学名誉教授が自ら寄付までしたことを明かし、ブームに拍車をかけたのです」(同)
6月27日と28日、山本代表は都内で参院選候補者擁立の記者会見を行った。本誌記者も都内新宿区内の会見場に赴くと、会場は新聞、テレビの主要メディア、ネット系、スポーツ紙、夕刊紙の記者やカメラで立錐の余地もないほどの熱気で溢れかえっていた。
そんな中、独自の経済論で著名な東大教授の安冨歩氏と重度障害のある木村英子氏の擁立を発表した。
すでに拉致被害者家族連絡会元副代表の蓮池透氏の出馬を決定している山本新党はさらに勢いを増しそうだ。山本太郎事務所関係者が明かす。
「6月26日現在で寄付額は2億1162万円です。寄付者の数は約1万5000人。1人、1人の善意の積み重ねで本当に感謝しています。支援者の熱気が伝わる日々です」
かつて山本代表は「参院選挙で10人擁立するには約3億円が必要」と言及していた。事務所関係者は「3億円は超えると思います」と自信を示す。
「寄付金5億円も夢ではない。最新の朝日新聞世論調査で、政党支持率こそまだゼロだが、比例投票先は早くも1%で社民党と並びました」(選挙アナリスト)
冒頭で「たいしたことない」と見下していた自民党サイドは必要以上にピリピリし始めている。
「山本氏は、まだ東京選挙区出馬とも比例とも言及してない(7月1日現在)。東京選挙区なら山本氏は当選確実。しかも、山本新党に雪崩を打っているのは自民党支持の中小企業、商店関係が多い。東京選挙区でいえば、自民の武見敬三氏が厳しい。山本新党のうねりが全国に波及すると、自民党へのダメージは計り知れない」(自民党関係者)
山本代表は6月27日の記者会見でこう述べた。
「私たちは消費税廃止の前提で減税。多くの方が苦しむ中、減税を他の野党と共通政策にしたかったが、できなかったのが残念」
れいわ新選組関係者が山本氏の最終目標を明かす。
「参院選で10人擁立の場合、10人全員当選が最大目標。最少目標は山本太郎1人でも政党になること。それには山本氏が当選し『れいわ』が政党要件2%の得票を得ること。そうすれば、山本氏は国会討論、党首討論に出られる。公の場で政権が一番嫌なことをぶつけ、国民議論を巻き起こし、次のステップ、新政界再編を巻き起こす」