インディーズや下積み時代ならば問題は起きにくいが、万が一爆発的に売れてしまった場合、作詞・作曲を担当しているメンバーにだけ余計に印税が多く入るため、バンド内での経済格差が非常に大きくなる。
多くの素晴らしいバンドが全盛期にもったいない解散をしてきたが、その原因の多くは「お金」だと言っても過言ではないのだ。しかしこの「負のスパイラル」に終止符を打っているバンドがいる。言わずと知れたローリング・ストーンズである。
ストーンズのオリジナル曲の作詞/作曲のクレジットは、殆どが「Jagger/Richards」…つまりミック・ジャガーとキース・リチャーズによって作られている。が、入ってくる印税は二人占めではなく、現在はミック・ジャガーの指示で五等分しているというのだ! まさしく株式会社ローリング・ストーンズ、CEOはミック・ジャガー! これこそまさにローリング・ストーンズの「長寿の秘訣」と言えるだろう。
他にもこんなエピソードがある。日本での来日公演で他の演奏者が間違えた音を出した直後、ギターのキース・リチャーズがそこまで走っていって、「間違えるなよ(笑)」と言わんばかりに軽くキックするアクションをした。ここまではよくある場面かもしれないが、何と翌日の公演でも同じ場所で間違えたメンバーに向かって、キースが走っていってキックする真似をしたというのだ。この話で醒めるか、アガるかは受け手次第だが、筆者はストーンズだからこそ、この手の話には興奮する。さすがプロだ。
現在ミック・ジャガーは英国王室から「貴族/サー」の称号を受けている。ミック中心の合理的なバンド運営が今後も続けば、ローリング・ストーンズは安泰だろう。そしてこれからも、実際に何百人もいるストーンズ関係者をミック・ジャガーは食わせていかなければならない。
(みんみん須藤)