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AIJ投資顧問 闇に消えた年金1853億円!(2)

 さらに驚くべきは、AIJで運用の中心にいた松木新平取締役も、これまた野村OBなのである。古参の証券マンが語る。
 「彼は高卒のキャリアながら、東大卒が幅を利かせる野村にあって常務まで昇進した異色の経歴を持っています。1997年に起きた、当時の4大証券(野村、大和、日興、山一)を総舐めした総会屋への利益供与事件(損失補填による利益供与)で失脚したものの、今度は後輩に当たる浅川社長とタッグを組んで復活した図式です。オリンパス事件に絡んだ面々を含め、野村人脈はそれだけ横の繋がりが深いのです。その彼らが英知を結集すれば、究極のマネーロンダリングなど朝飯前ということですよ」

 金融界を直撃したこの利益供与事件では、第一勧銀の宮崎邦次会長(当時)が首吊り自殺をした。
 歴史の皮肉と言うべきか、オリンパス事件においても、インドで医療事業を手掛ける『オリンパスメディカルシステムズインディア』の大森力社長が2月20日、ニューデリー郊外の公園で首吊り自殺しているのが発見された。
 大森社長はインドへ単身赴任だったとされ、地元警察は日本語で書かれた家族宛の遺書と「迷惑をおかけして申し訳ありません」と書かれた遺書を発見したが、何に対する“迷惑”なのかは不明。この件に関してオリンパスがコメントを控えていることもあって、1300億円余に及ぶ飛ばしスキャンダルとの関係を詮索する声が渦巻いている。

 前出の証券マンが言う。
 「オリンパスといい、今回のAIJといい、問題は百戦錬磨の野村OBが用意周到にシナリオを描いて実行に移したこと。これでは第三者が運用実態を把握するのは容易じゃない。現にAIJではケイマン諸島を振り出しにバミューダの投資信託や香港の大手銀行も絡むなど、手法は至って複雑。これを一つずつ炙り出さなければ消えた年金の暗部まで踏み込めない以上、証券等監視委員会や金融庁の苦戦は避けられません。当然、捜査当局の出番が早まるでしょう。あまり考えたくはありませんが、これでキーマンが自殺しようものなら“死人に口なし”となる。そうなった日には目も当てられません」

 AIJの問題が厄介なのは給付額が減額されるだけでなく、最悪のケースでは運用を委託した基金が行き詰まった揚げ句、厚生年金そのものに波及しかねないことだ。もし、そんな事態になれば、国民にとって「対岸の火事」では済まなくなる。だからこそ金融庁は大慌てでAIJの実態解明に取り組んでいるのだが、野村とは別の大手証券マンは辛らつだ。
 「国内の大手格付け会社はAIJが不正行為に手を染めている疑いが濃厚だと以前から指摘していた。にもかかわらず、金融庁は野放しにしてきたということ。まさに、正義の味方をアピールするためのアリバイ工作に過ぎません」

 金融庁が躍起になるのは当然。しかし“悲劇”の歴史が繰り返されるようなことは、あってはならない。

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