計画によれば、場所は三条大橋近くの河川敷。ここに15〜50平米のステージを設置し、河川敷で活動するミュージシャンやパフォーマーに提供しようというもの。府は'13年度に960万円の予算を計上し、新年度に繰り越して実現を目指す方針なのである。
京都府庁関係者は、
「ただ単に賑わいをというだけでなく、ここでアマチュアの芸術活動を支援する狙いもあります。鴨の河原には出雲阿国以来の大衆芸能の伝統がありますから」
と鼻息も荒い。
だが、ステージ予定地の周辺には、祇園や木屋町、先斗町など最も京情緒漂う街並みが広がっており、ステージ設置には「違和感がある」とする声が上がっているのである。先斗町の飲食店主がこう語る。
「そんなん作って何になんの? 正直、私ら夏は納涼床をやってますが、近くにステージができてジャンジャンやられたら、せっかくの風情も台無しや。府は賑わいを強調してはりますが、そんなお金があんのなら、他のことに使ったほうがよっぽど地元のためです」
ちなみに、鴨川河川敷は京都を代表するデートスポット。特に三条大橋周辺は、河川敷にアベックが等間隔で寄り添う姿が新たな名物となっているが、そんな光景もステージの設置場所いかんでは、ぶちこわしになる可能性もあるのだ。
ただ、そうまでして府がステージ設置にこだわるのには、ある理由が存在するようだ。府の職員OBがこう語る。
「近年、鴨川河川敷はデモや集会に使われることがよくあるが、府や市は河川敷を解放区のままにしたくない。それで公共のモノをわざわざ作りだしたとの話があるのです」
要は、河川敷を管理下に置きたい思惑が渦巻いているようなのだが、情緒か、賑わいか? この論争で、しばらく京都が揺れることは間違いなさそうだ。