ここ数日、夏場所に向けた稀勢の里の稽古内容については、複数メディアが伝えていたが、その内容は“精彩を欠いていた”というものが多数を占めていたことから、今場所の休場もやむなしといったところ。しかし、1年もの間途中休場や全休を繰り返し、それでも本来の姿が戻らない現状を考えると、今場所を全休したからといって状況が好転する可能性も低いだろう。
昨年3月場所で怪我を負って以降、出口の見えないトンネルをさまよい続けている稀勢の里。苦境の横綱に対しては、ファンも「応援してるけどこれは...」、「このまま終わるのは寂しすぎる」、「限界」といった複雑な心境をネット上に吐露している。
一方で、中には「横綱に昇進しない方が良かったのかも」「大関時代が恋しい」「2016年の稀勢の里帰ってきて…」といった声も見受けられる。こうしたファンの頭の中には、安定感のある成績を残し、なおかつ休場もほとんどしなかった大関時代の姿がよぎっているのかもしれない。
2012年初場所から2017年初場所まで大関として相撲を取っていた稀勢の里だが、この期間(31場所)の星取りは合計332勝133敗(1場所平均10.7勝4.3敗)で、休場は2014年初場所千秋楽のわずか1日のみ(不戦敗)。また、2016年には幕内における年間最多勝力士(69勝21敗・1場所平均11.5勝3.5敗)に輝いており、これが横綱昇進の一因ともなった。
“横綱・稀勢の里”に足りないものである安定感と丈夫さを兼ね備えていた“大関・稀勢の里”。過去に思いを馳せるのも、無理はないのかもしれない。