酒井容疑者は調べに対し、行方不明中の足取りについて「神奈川・箱根や東京・立川方面にも立ち寄った」と供述している。夫の高相祐一容疑者(41)が逮捕された東京都渋谷区の現場から、携帯電話の電波がキャッチされた山梨県身延町をつなぐルートの一部が解明した。
警視庁組織犯罪対策5課によると、酒井容疑者は新たに東京都千代田、港区、立川方面や箱根に立ち寄ったり宿泊したりしたと供述。出頭までの6日間で記憶がはっきりしない点もあるといい、同課は立ち寄った順番や場所の詳細についても裏付け捜査を進める。
酒井容疑者は姿をくらませた3日から出頭した8日夜までに新宿区、中央区で宿泊していたことが分かっていたほか、山梨県にも行ったことが判明している。警視庁はこうした行動の目的や、同行した人物がいたかどうかなどを調べている。
事件取材するジャーナリストは「サーファーの酒井容疑者夫妻は千葉の外房海岸での目撃情報が多かったが、関東のサーファーは千葉だけでなく大洗(茨城)、湘南(神奈川)にも精通している。山合いの箱根にわざわざ温泉につかりにいったわけではないだろうし、東京―箱根をつなぐ線上にある湘南にあえて立ち寄らなかったとすれば、なにがしかの意図的なものを感じる」と指摘する。
酒井容疑者の覚せい剤事件は、選挙戦のさなかにある政界をも揺さぶった。11日の閣僚懇談会では麻薬・覚せい剤撲滅の必要性を訴える発言が続々。河村建夫官房長官は「有名タレントの事件で関心が高い。若者がその方向に入っていくことがあってはいけない」と指摘した。
このほか「警察当局がもっと認識をしっかり持つべきだ」「青少年への薬物まん延を防がなければならない」との意見も出た。野田聖子消費者行政担当相は「著名人は影響力の大きさを理解してほしい」と強調した。