負ければ監督退任も噴出しかねない状況下にあった岡田ジャパンだが、戦前の不安を一掃する闘いぶり。岡田監督が心中を決めた中村俊輔がゲームを支配すれば、キーマン闘莉王も前線まで飛び出してパワープレーでゴールに絡むなど、終わってみれば3ゴール無失点の理想的な快勝劇となった。
まんまとオマーンを退けた指揮官だが、試合後は「第一歩を超えられただけで次がある」と笑み一つ見せることはない。むしろ「(オマーンは)暑さがある。ここでどうするかは言えないですけど、何か工夫する」と、すでに頭の中には7日にアウエーで行われるオマーン戦でいっぱいのようだ。
それもそのはず。指揮官ばかりか俊輔まで「アウエーでこのプレーができないと痛い目に遭う」と次戦を警戒するのにはわけがあった。この日のオマーンはフリオ・リバス監督が「ディフェンスラインにレギュラー4人が出られないのは痛かった」と嘆いたように、ほぼ半分が控え組で構成された“2軍”同然の布陣だった。
累積警告で3人、負傷により2人と実にレギュラー5選手が出場できず、イレブンのうち3選手が代表デビュー戦だったというから、逆にリバス監督からしてみれば「きょうは選手の経験不足で負けた」と諦めがつく。むしろ次戦こそが「次のホームは利点を生かして勝つ」と必勝態勢なのだ。
オマーン側が「ホームの利点を生かす」と自信をのぞかせるのは、岡田監督が「暑さ」によるスタミナ消耗について警戒する部分。
いずれにせよ厳しい闘いを強いられる岡田ジャパンだが、それ以外にも気掛かりなことがある。日本代表関係者はこう危惧する。
「彼らの自信は不気味ですよね。実はきょうのホームゲームについてオマーン側とちょっとしたやりとりをしたんです。観客動員のことを考えてホームの試合を1日前倒しで6月1日の日曜日にしてくれないかとオマーン協会に申し入れたんですが、あちらは変更に応じませんでした。試合が早まって(7日のオマーンとの第2戦で)日本代表が1日早くオマーン入りすることでコンディションが整うことは困るのでしょう。彼らは本気ですよ」
7日には敵地でオマーン戦に臨む岡田ジャパン。ホームで3ゴールの快勝をあげた相手とはいえ、アウエーでは“中東の洗礼”を受けかねないとあって、いばらの道はまだまだ続く。
○サッカー協会元会長 長沼健氏死去
日本のサッカー界をけん引してきた功労者の一人、日本サッカー協会最高顧問、元日本サッカー協会会長の長沼健日本サッカー協会最高顧問が2日午後、肺炎のため東京都内の病院で死去した。77歳だった。くしくも、夜には南アW杯のアジア3次予選の対オマーン戦があり、選手は喪章をつけ対戦。3-0の快勝、長沼さんへ捧げる白星となった。