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西田隆維のマラソン見聞録 第13話「常にゆとりを持つ練習」

 僕がメーンパーソナリティのラジオ番組『週刊 西田隆維(りゅうい)』(FMたちかわ)も9月17日の放送で3回目を数えた。
 この番組のおかげで、各方面から色々なイベントへの出演要請が後を絶たない。本当に感謝、感謝。関係者の皆様には精一杯、僕のパフォーマンマンスを披露します。

 さて、そのような嬉しい悲鳴が何と、会社(所属事務所)を動かした。前回、僕が今、タレント業以外におこなっている仕事を掲げた(NPO活動、体育協会指導員)が、何と10月を目処に僕はイベント会社を設立。その代表に就任する事になった。今後は所属事務所とタッグを組んで、ランニングを始め、婚活やクッキングスクール…と以前から興味のあったイベントを積極的に取り組んでいくつもりだ。
 そういった背景から今、各ランニングクラブの実態を調べている。まあ、「実態」と言うほど、大それたモノでは無いが、今後は己が携わる(気持ちは皆無だが…)可能性があり、まして最近はマラソン大会やロードレースのゲストに呼ばれる事が多い。参加者の気持ちを把握しておく必要はあるだろう。

 で、現在、取材しているランニングクラブだが、総じて練習会は「ポイント(スピード練習か距離走)」になっている事に気づく。当コーナーで再三、取り上げているが、僕にはその練習メニューが全く理解できない。なぜ、スピード練習を平日、仕事終わりのサラリーマン(一部は会社役員もいるだろうが)に“強要”しなければいけないのか−−。

 僕の考え方は「常にゆとりを持つ練習」だ。これは、実業団の選手たちにも話しているし、前回掲載した体育指導で訪問した学校であっても実践している。こうなれば勿論、市民ランナーにも「この教え」を伝道したいのだが、小、中学生とは違い、「給料取り」は純朴に受け入れてくれない。その理由は(彼ら=市民ランナー)「ランニングクラブの練習会は週一程度。あとは、自分でメニューを組み立てるから…」というもの。
 僕としては「は〜?」みたいな感じ方があるのだ。僕が市民ランナーに対し、違和感を覚えるのは、「日常生活のベースは何処にあるのか」という事。サラリーマン(給料取り)は会社での労働が対価になって富(サラリー)を得るもの。つまり、生活のベースは勤務先での労働にある訳だ。それが、市民ランニングクラブを取材すればするほど、参加者の意識が勤労に薄い。本末転倒しているのだ。
 分かりやすく伝えると、市民ランニングクラブや大会に参加出来るのは、労働での報酬があっての事−−。それなのに彼ら(市民ランナー)の日常は、「仕事よりもランニングが優先される」のだ。「火曜日は18時30分から(ランニング)練習会だから飲み会は勿論、残業もNG」という輩は数知れない。

 まあ、僕の立場で第三者のプライベートをとやかく言うのは、おかしな話かもしれない。
だが、僕は言いたい。
 「実業団選手が走るのは、その会社と“走ることでの”契約をしているから。僕たちは“仕事として走っていた”訳です」
 市民ランナーの仕事は走る事では無い。ランニングはあくまでも「余暇」。仕事より余暇が優先されているようでは、「余暇でもいい結果は出ない」と言うのが僕の持論だ。仕事の出来る人は余暇も充実している。なぜなら、時間の活用方法を知っているからだ。

 僕が市民ランナーに訴えたいのは「平日は仕事にまい進し、休日に気が済むまで追い込む練習をすればいいのでは」と言う事。別に毎日走ったからといって、速くなる訳ではない。「週に1回の練習だから、サブスリーになれない」と言う話ではないと思う。
 スピード練習が足りないと思えば、月に2回程度、試合に出場すればいい。その際、全力で取り組むのではなく、メーンレースから逆算した設定タイムを作り、その中で走るよう心がける。そうするとレース感覚が身に付き、全力で無い分、身体と心にゆとりが出来る。その状態で試合に臨めるとなると、これは大きい。実際、本番でゆとりのある試合運びが出来るようになると「ここ一番」での追い込みが不思議と可能になるものなのだ。この辺は市民ランニングクラブでは教わらない話だろう。

 要するに平日は残業や接待、飲み会を優先し、飲酒していない夜に自宅付近を20〜30分ジョギングすれば十分。それも、曜日を決めず、本当にいける日だけ(走りたいと思った日だけ)実践すればいい。下手に習慣づくとその日に合わせ、残業や接待等を断る状況になるので、それは避けたい。
 週末は早めに起床し、午前6時、若しくは7時頃から走り始め、午前9時には終わる様にする。そうすると一日をフルに活用できるメリットが生まれる。充実の休日になる訳だ。
 僕は平日にスピード練習やペース走といった「ポイント=刺激走」をすることが理解できない。刺激走は肉体疲労を与えるばかりか身体に対するストレスも大きい。週の間…つまり翌日も仕事だと言うのにストレスを溜めこんでいい仕事など出来る訳はない。

 そもそも市民ランナーにとって走るという行為はストレスを発散させる為に行うモノであって、ストレスを抱える為に行うものではない。市民ランナーにとって僕の考え等は「馬の耳に念仏」だろう。が、僕は「趣味」と「生業」が転倒している彼らを目の当たりにすると、こう思わざるを得ないのだ。

※写真は9月1日におこなった群馬・安中榛名の中学校「松井田北中学校」での指導風景

<プロフィール>
西田隆維【にしだ りゅうい】1977年4月26日生 180センチ 60.5キロ
陸上長距離選手として駒澤大→エスビー食品→JALグランドサービスで活躍。駒大時代は4年連続「箱根駅伝」に出場、4年時の00年には9区で区間新を樹立。駒大初優勝に大きく貢献する。01年、別府大分毎日マラソンで優勝、同年開催された『エドモントン世界陸上』日本代表に選出される(結果は9位)。09年2月、現役を引退、俳優に転向する。9月3日スタートのラジオ番組「週刊 西田隆維(りゅうい)」(FMたちかわ)のメーンパーソナリティ。

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