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補償はどうなる! 燃費詐欺 三菱自動車がゴールデンウィークも走っている(2)

 三菱自の今後は、韓国の現代自動車グループや独フォルクスワーゲン(VW)の事例と同じ流れになりそうだ。現代は米国で燃費の水増し表示が露見し販売が激減した。VWは米国でディーゼル車の排ガス性能を偽装したことが発覚、ブランドを大きく失墜させてしまった。訴訟なども起こされており、いまだに負担額の全貌は見えていない。
 「現代もVWも、本来ならば負担すべきコストを意図的に省いて関係者を欺いており悪質性が高い。三菱自もVWの排ガス不正に並ぶほどの悪質性があります。今後行政や司法、消費者から厳しい追及を受けることは避けられないでしょう」(自動車ジャーナリスト)

 不正の報いは行政罰や顧客への損害保障などにとどまらず、限りなく残酷な形で受けることになる。まず、該当車の購入者にはエコカー減税の追加納税分が生じるが、三菱自は全額負担する方針を固めた。負担額は100億円を超える可能性がある。また、燃費性能の操作で余計に掛かったガソリン代の補填などにも数百億円規模が必要になる見通しで、対応費用が同社の経営を圧迫するのは必至だ。

 それにしても、なぜ三菱自は不祥事を繰り返すのか。
 「下が勝手にやって上に情報を上げていない、どうしようもない会社だからです。分厚い機密の奥にある開発現場での不正は本来なら表沙汰になりにくい。それが発覚したのは、軽のビジネスを行う子会社『NMKV』に折半出資している日産が、次世代モデルを開発するに当たって『デイズ』と『eKワゴン』などにテストを行い、結果がおかしいことに気付いたためです。三菱自の開発現場は、日産の求める燃費効率を達成しなければならないというプレッシャーから不正操作に手を染めたのかもしれません」(同)

 実際、4月20日に会見した相川哲郎社長は「('13年当時の)担当部長が不正操作を指示した」と発言し、「4月13日に調査結果の報告を受けるまで事実を知らなかった」と述べた。しかし、本当に相川社長が知らなかったのか疑問は残る。
 「相川社長は前任の益子修社長(現会長)が三菱商事から派遣されてきたのに対し、車両開発一筋のプロパーです。今回問題になった『eK』は相川社長が手掛けた車種ですから開発現場には精通しているはず。日産が不正操作を確認した昨年11月から調査結果の報告を受けた今年4月13日までの間、一切の事実を把握していなかったというのはいかにも不自然です。実は相川社長の実父は、三菱重工業の実力者だった相川賢太郎元会長で、三菱自の完全復活は、生え抜きの“プリンス”に託されていたのです。王子様だけに開発現場から上がってくる数字を鵜呑みしてしまっていたのかもしれませんね」(全国紙経済部記者)

 事は三菱自だけにとどまらないかもしれない。
 「今回、クルマの許認可に関する権限を持つ国交省は自ら審査することなく、何と自動車メーカーからの自己申告に任せていたことが分かりました。ということは同様の不正が他社にも波及する恐れが出てきたのです」(前出・ジャーナリスト)

 三菱自の窮地を救ってきたのは三菱重工、三菱商事、三菱東京UFJ銀行の“御三家”だが、2位株主の商事は資源価格が下落した影響で'16年3月期決算は創業以来初の最終赤字を見込んでいる。筆頭株主の重工も大型客船事業で損失が発生し最終減益の見通しとなり、三菱自を助ける余力があるかどうか。
 もはや三菱グループの守護神「土佐稲荷神社」(大阪市西区:創始者・岩崎弥太郎が事業を営んだ地)で、御百度を踏むしかない!?

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