新旧天才ジョッキー2人による直線の叩き合いは、三浦皇成とスマイルジャックに軍配が上がった。
2着に敗れた武豊のヒカルオオゾラ同様、折り合いが最大のポイントだったが、少々行きたがるそぶりを見せていたライバルに対し、自身は後方馬群でしっかりと折り合えた。このわずかな差が直線の切れ味、つまり上がり3Fの0秒2差につながった。
三浦騎手の“大胆さ”は賞賛されるべきだ。昨年のダービーで2着したようにGI級の底力を秘める半面、スマイルには気性の難しさがつきまとっていた。
後方に控え、直線で落馬寸前のアクシデントがあった前走の安田記念(9着)を見れば、心理的に「前々で」となってもおかしくないところ。それを敢えて後ろで我慢させ、テン乗りにもかかわらず、昨年のスプリングS以来の勝利に導くのだから、やはり並みのジョッキーではない。三浦がサラリと言う。
「折り合いが難しいということは知っていましたから。長い直線なので焦りはなかったし、位置取りは気にしていませんでした。もっと大きいところを勝てるように自分の技術をさらに上げて行きたい」
函館2歳Sで2着したキョウエイアシュラを断ってまで、スマイルを選んだ決断力もこれまた非凡。小桧山調教師が経緯を明かしてくれた。
「オーナーが『若いジョッキーと一緒にリセットしよう』と。三浦君がデビュー戦で勝った馬がオーナーの馬だった縁もあって乗ってもらうことになった。人気馬を差し置いて新潟に来てくれたことに感謝だよ」
もちろん、前走後も放牧に出さなかった馬主、控える競馬を教え込んできた岩田、厩舎でじっくりと馬を立て直したスタッフと、さまざまな人の力があってこその復活Vだ。名パートナーを得たスマイルの最大目標はマイルCS。懸案だった賞金も加算して、一気に視界が広がってきた。