待ち望んでいたパートナーとの再会。上村騎手は5カ月ぶりの実戦を前に、スリープレスナイトの感触をじっくりと味わった。
「高松宮記念よりずっといい。休養明けだけど動きはかなり良くなっている」
2日に栗東坂路で行われた1週前追い切り。800メートルを51秒4、ラスト1F12秒4(一杯)の好時計をマークした。もともと調教は動くタイプだが、体の張り、毛づやともに休養していた馬とは思えない。
前走の高松宮記念は2着。逃げたローレルゲレイロをあと一歩捉え切れず、秋春のGI連覇は幻に終わった。しかし陣営は、この踏ん張りでスリープレスの底力を改めて見直したという。
レース前にジンマシンを発症し、予定していたステップレースすら使えず。仕上がり途上のぶっつけ本番となってしまっただけに、惨敗すら覚悟したほどだった。それでいてあの速さ、粘り。
「ジンマシンで悩まされたのに、本当によく走ってくれたよ。その後はじっくり休ませてリフレッシュしたし、影響や反動はまったくない。ケイコも十分に積めているからね」と橋口調教師はうなずいた。もう春のようなひ弱さはない。
この秋、最大の目標はもちろん次走のスプリンターズS連覇だ。しかし夏場をじっくり休養に充てただけに、休み明けのここから全力投球の構えでいる。
「本番を見据えて戦うという部分はもちろんあるけど、能力からいけば負けていられない。GI連覇を目指すためにも、ここでちゃんとはずみを付けたい」と上村騎手は言葉に力を込めた。
昨年より数段パワーアップした僚馬カノヤザクラなど、手ごわい馬がそろった。だが鞍上は、スリープレスの底力を信じている。不動のスプリント女王へ、いきなり貫録を見せるつもりだ。