報道によると洞窟の入り口付近で泥にまみれた歯を発見。野犬の歯とは形状が違うことから「ニホンオオカミのものでは?」と話題になっているという。
ニホンオオカミは一般的に明治の中期に捕獲されたのが最後の一体とされ以後、100年以上に渡り絶滅した動物として知られている。
一説によると1905年に奈良県、もしくは1910年に福井県で捕獲されたものが最後のニホンオオカミの記録とされており、平成26年を生きるほぼすべての日本人がニホンオオカミの姿を見ることができなかったことになる。
しかしニホンオオカミの「生存説」は昭和、平成を超えても広く語り継がれる「ミステリー」として生き続けている。
現に絶滅したと思われる1910年以後もニホンオオカミによく似たオオカミの目撃証言、遠吠えを聞いたという話は広く伝わっており、個人や団体を含めた多くの探検隊が生存の可能性を信じて日夜調査を行っている。
実際、今回の歯が見つかった秩父では平成初期にニホンオオカミに非常に酷似したオオカミの姿が写真に収められ、ほかにも東京都青梅市、紀伊半島、四国などにも目撃の証言が残っている。もっともどれも捕獲には至ってなく、や野犬の見間違いも多いため生存説を裏付ける証拠はまだ揃っていないというのが現実だ。
日本ではニホンオオカミを含むオオカミは「お犬様」「大口の真神(まかみ)」と言われ信仰の対象にもなっている。
埼玉県の三峯神社ではニホンオオカミを「神の使者」として祀っており、現在も秩父でその信仰が深いとされている。
奇しくもニホンオオカミの歯らしきものが発見されたのはまたも埼玉県の秩父地方である。
生存論はともかくとして埼玉県秩父地方にはニホンオオカミの謎を解く大きな「鍵」があるのは間違いなさそうである。
写真:明治期に撮影されたニホンオオカミのものとされる一枚
文:穂積昭雪(山口敏太郎事務所)