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コンピューターゲームの20世紀 第37回『エリア88』

<一般プレイヤーにもクリア可能なシューティングゲーム>

 『エリア88』は新谷かおる氏の同名漫画を原作としたシューティングゲームであり、丁寧な作りと原作の設定を活かしたシステムでファンから愛されたゲームである。原作漫画は1979年から1986年まで少年ビッグコミック誌(後のヤングサンデー)に連載されていた作品。主人公「風間真」が親友である神崎悟の策略にはまり外人部隊に入隊させられ、地獄の最前線で戦闘機パイロットになることを余儀なくされるところから始まる。真は親友への復讐と恋人との再会を胸に秘め、生き残りのために戦場に赴き、そこに様々なドラマが生まれていくのだ。

 原作でのエリア88(基地名及び部隊名)では全てにおいて金がものを言う世界である。パイロット達は敵機の撃墜や地上部隊の破壊によって出来高制の収入を得、自機や武器の購入は全て自腹で行わなければならない。生き残ることは当然ながら、より効率よく敵を破壊することも非常に重要なのである。本作にもこの設定は採用されており、敵を倒すごとに点数と資金が得られるようになっている。この資金をもとに武器商人のマッコイじいさんからサブ武装やバリアなどを購入すれば、ゲームを有利に進められる。まさしく地獄の沙汰も金次第なのである。

 プレイヤーが選択できる自機は3種類。主人公「風間真」が乗るF-20タイガーシャーク、真の親友であり最も信頼する相棒ミッキーが駆るF-14トムキャット、そして地上攻撃のスペシャリストであるグレッグ搭乗のA-10サンダーボルトIIである。機体はそれぞれF-20は連射性能が高く、F-14はショットの攻撃範囲が広く、A-10は自機の斜め下にもショットが射出されるという特徴を持つ。自機はプレイヤーの好みで選んで構わないが、クリア優先で考えると真のF-20が圧倒的に有利である(理由は後述)。また、地上空母や対空地雷といった原作出典の敵兵器も登場するため、ファンには堪らないゲームになっている。

 このように原作の雰囲気を壊さず丁寧に作られた本作であるが、やや不名誉な点でも有名。それは難易度が非常に低いということである。シューティングゲームは一般的にマニアに優しく初心者には厳しいゲーム。多少難易度が低いと言われていても、それはマニアにとって簡単という話であり、一般ゲーマーには手も足も出ないということが多い。しかし、本作はシューティングゲームを嗜む程度のプレイヤーにも簡単にクリア可能であり、シューターと呼ばれるマニア達には初プレイでクリアできてしまうほどなのだ。

 その理由はいくつか存在するが、1つにはステージが短く道中の敵の攻撃があまり激しくないということ、また自機がエネルギー制で多少の被弾に耐えられることやバリアを購入できる点も大きい。ここまではメーカーも想定の範囲である。そして難易度低下の最大の原因となっているのが、自機の連射性能の高さなのだ。本作にはセミオートの連射機能が備わっているが、これ自体はあまり大したことはない。しかし、これにハード的な連射機能を付加すると自機からは凄まじい勢いでショットが発射され、1本の棒の様に見えるほどになる。特に連射性能に優れるF-20は凶悪で、本作はただでさえボスの耐久度があまり高くはないのだが、連射装置を使用すると多くのボスがわずか数秒で破壊されてしまうのだ。このおかげで本作は非常に簡単である。最も強力な敵であるはずのステージボスをあっという間に撃破可能なのだから当たり前だ。

 だからといって本作は決してつまらないわけではなく、筆者の様にシューティングが苦手なプレイヤーにはちょうどいい難易度。何度かクリアして自信がついたらバリアの購入を控えたり、連射装置を使わなければよい。本来のメーカーが意図した連射装置抜きの難易度が本作の正しい姿だと言えよう。

 本作には『U.S.NAVY』というシステムをそのまま流用した後継作が存在するが、こちらもまた連射装置によって難易度が劇的に低下する。さらに連射によるバグも発覚し、それを利用することでクリアも容易である。また、『エリア88』はスーパーファミコンにも移植されているが、こちらはシステムが大きく変更されており、難易度もかなり上昇しているので注意されたし。(須藤浩章)

DATA
発売日…1989年
メーカー…カプコン
ハード…アーケード
CAPCOM CO., LTD. 1989

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