川栄と言えば、AKB48時代はどちらかと言うと地味な存在だった。第6回AKB総選挙で16位となり初の選抜入りを果たしたものの、上位7位までのメンバー“神セブン”に比べるとメディア露出は格段に少なかった。2014年に起きたAKB48握手会傷害事件がきっかけで、川栄の存在を知った人も多かっただろう。卒業後、自身も「私には色がない」「協調性の塊だった」などとアイドル時代を振り返っている。
それに比べ“神セブン”と呼ばれたAKB卒業生・前田敦子、大島優子、渡辺麻友らの人気は爆発的なものだった。前田の総選挙の最高得票数は13万9,892票(2011年、1位)、大島は13万6,503票(2013年、2位)、渡辺は17万5,613票(2016年、2位)。川栄が初選抜を決めた際の3万9,120票と比べても、その差は歴然だ。
しかし卒業後の活躍ぶりはどうだろう。女優・歌手として活動している前田は、初主演ドラマ『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)で大胆な演技を披露し話題になったが、一部からは演技力に関して疑問の声もある。大島は1年間のニューヨーク語学留学を終えたばかり。来年、舞台で本格復帰するようだが、女優としてどの程度躍進するかは様子見といったところだろう。
一方、川栄は卒業後、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』にレギュラー出演。その演技力が高く評価され、視聴者からは「役の心情をうまく表現していた」「自然な演技で、今後もっと伸びそう」「元AKB48の前田や大島より演技は上手い」と称賛の声が上がった。その後もさまざまな役を演じ続け、現在では活躍の場をCMやトーク番組などにも広げている。AKB時代は存在感が薄かったとも言われる川栄が、なぜこれほどまでに躍進したのだろうか。
「彼女は女優になる意思が強かったので、卒業前から舞台などに出て地道に演技力を磨いていました。またバラエティ番組にも積極的に出演するなど、露出を増やしていましたね。AKBブランドに頼らず、経験を積み上げた結果だと思います。また、神セブンと言われたメンバーに比べアイドルイメージがそれほど強くなかったため、役になじみやすかったということもあるかもしれません。とても頑張り屋で、ドラマの共演者からの信頼も厚いと言われていますよ」(芸能ライター)
川栄の女優転身成功の裏には、卒業前からの地道な積み重ねがあったようだ。AKB48時代の先輩に当たる“まゆゆ”こと渡辺は、川栄と同じように舞台などを通して演技力を磨いている。8月からスタートする『いつかこの雨がやむ日まで』(東海テレビ・フジテレビ系)で連続ドラマ初主演も決まっているが、この勢いに乗って川栄の後に続くことができるか。元AKB48メンバーの女優転身劇からまだまだ目が離せない。