「私は昔から1位というものになったことがないんです。だからどうせキャバで働くからには、今度こそナンバー1になってやろうって」
麻里は学生の頃から男性にモテ、ルックスには自信があった。そのためキャバクラの世界でも簡単に上位に行けるだろうと甘く考えていたが、実際に働き始めると、現実の厳しさを知ることになる。
「六本木のキャバクラで働いていたのですが、皆、どんな話題を振られてもいいよう、日々新聞やニュースに目を通し、あとはずっとメールや電話の嵐。正直、もっと楽に稼げると思っていたので愕然としました」
トップを目指すため出勤日数を増やし、アフターも行うとなると彼女のプライベートの時間はほとんどなかった。体力的にキツくなってきた麻里は、ある日、ナンバー1のキャバ嬢に毎日どんなスケジュールこなしているのか聞いてみたという。
「ナンバー1の子は、普段きついと思ってた私なんかより何倍も努力していました。まず朝はモーニングコールで常連さん達に電話。そして昼前までその他に営業メール。夕方前には起床、準備して18時には店について髪のセット&出勤。深夜3時まで働いて眠るのは朝。1日の睡眠時間はわずか4時間ほどというハードな日々だったんです」
ナンバー1を維持するために、そんな過酷な日々が毎日続くという。麻里は重労働をこなす自信がなくなり、トップに立つことを諦めた。
「キャバクラではナンバー1になれないって自覚したので、次は別の道でナンバー1になりたいと考えてます。今はキャバクラを辞めてしまったので、次はモデルとかもいいかな」
麻里は今、モデルの世界でナンバー1になるため、オーディションを受ける準備をしていると話した。
(文・佐々木栄蔵)