この時期の外出時、嫌な思いをさせられるのが、蚊です。刺されれば痒みに襲われ、苛立ちを覚えます。さらに蚊は、感染症を媒介する危険性もあるので注意が必要です。
今回は、医師の小田切ヨシカズ先生に、蚊がもたらす感染症や、刺されないようにするための方法などをお聞きしました。
■人を刺すのはメスだけ
「まず、人を刺すのはメスだけ。普段は樹液や花の蜜を吸って生きていますが、産卵期になると人の血を吸うようになります。気温がだいたい25〜30度くらいになるともっとも活発に活動します。だからもうしばらくは、外出時に注意を払わなくてはなりません。刺された後の痒みの原因は、蚊の唾液にあります。刺されたことを感じさせないようにする麻酔の役割や、血を固まらせないようにする効果があります。この唾液によりアレルギー反応が起き、痒みが生じます」
■感染症の危険性
「蚊が媒介となる感染症で最近話題になったのが、ジカ熱です。妊婦が感染すると、生まれてくる子どもに小頭症などの障害をもたらす可能性があるとされています。中南米で流行し、今年のオリンピック開催地のブラジル行きを断念した選手もいるほど。去年の夏に話題になったのが、デング熱です。久しぶりに日本での感染者が報告されました。2〜15日ほどの潜伏期間ののち、高熱や頭痛を発症します。かつて世界で猛威を振るったマラリアや、昭和の中頃に大流行した日本脳炎なども、蚊が原因となります」
■蚊に刺されやすい人
「蚊に刺されやすい血液型として挙げられるのが、O型です。詳しい理由が分かってはいませんが、何らかの蚊が好む要素を持っているからだとされています。あとは、体臭の強い人も、引き寄せやすいと言われています。太っている人は汗もかきやすく、臭いも発しやすいので、狙われやすいと言えるでしょう。お酒をたくさん飲む方も、同様のことが言えます。また、蚊は色を識別する能力があるとされ、濃い色を好む傾向にあります。ですから、色白よりも色黒の人の方が刺されやすい。体質的な問題はありますが、以上の点に気を付けると、蚊には刺されにくくなります。もちろん、蚊よけスプレーを使うことも大いに効果ありです」
蚊による被害は痒みだけではありません。たかが小さな虫だと侮っていると、しっぺ返しに遭うかも。涼しい季節が訪れるまで、しばらくは注意が必要です。
【取材協力】小田切ヨシカズ
湘南育ちのサーファー医師。ワークライフバランス重視。現在、横浜の内科クリニックに勤務中。