走攻守を兼ね備えたハイレベルな外野手として、広島のリーグ3連覇に貢献してきた丸。リーグ優勝から5年、日本一からは7年遠ざかっている“球界の盟主”にとっては、これ以上ないくらいに心強い新戦力であることは間違いない。
また、丸は2017年(打率.308・23本塁打・92打点)、2018年(打率.306・39本塁打・97打点)と、2年連続でMVPを獲得してもいる。仮に今季もMVPを獲得するような活躍を披露するならば、チームが栄冠を勝ち取る可能性もグッと高まるだろう。
一方、3年連続のMVPは、丸本人にとっても大きな栄冠となる。なぜなら、これまでのプロ野球史において、チームをまたいで3年連続MVPを達成した選手はただの一人もいないからだ。
過去の歴史を振り返ると、3年連続でMVPを獲得した選手は2人いる。1人は、“史上最高のサブマリン投手”と称される山田久志(元阪急/1976年〜1978年)、そして、もう1人は、先日惜しまれながらユニフォームを脱いだイチロー(元オリックス/1994年〜1996年)である。
“3年連続MVP”に限れば、達成すれば史上3人目となる丸。ただ、この両名の偉業は、どちらも同一チームで達成されたもの。所属が変わった選手がこれを達成するとなれば、誰も成し遂げていない大記録が生まれることになるのだ。
改めて言うまでもないことだが、MVPを獲得するには自身、チーム共に出色の成績が求められる。丸が好成績を収めるだけではダメだし、チームが優勝するだけでもダメ。それ故、達成にはかなり高いハードルが課せられていると言わざるを得ない。
ただ、FAで巨人から三顧の礼で迎えられたのは、そのような活躍ぶりを期待されてのことであるのもまた事実。果たして、“心機一転”のシーズンに臨む丸は“今まで通り”のプレーで、史上初の記録を手繰り寄せることはできるだろうか。
文 / 柴田雅人