“ヒモあって頭なし”キャラを前走・AJC杯で7歳馬エアシェイディが、ようやく返上した。
オープン特別では(1)(1)(1)(1)(2)着と無類の強さも、一転、重賞となると2走前までは(6)(3)(2)(4)(3)(2)(5)(2)(2)(2)(11)(16)(4)(2)着と詰めの甘さを露呈し続けてきた。ツキに恵まれなかったとはいえ、“無冠の帝王”といういただきたくないレッテルを貼られ、このまま種牡馬入りの可能性すらありえた。
それがどうだ。いつもなら直線、大外をぶん回してチョイ足りずだったのが、今年2戦目のAJC杯は意識的に馬群に突っ込み、他馬のスパートを見てから追い出すニュースタイル。勝つときはこんなもの…というのは簡単だが、重賞15戦目にしてようやく“勝てない病”から脱皮した感がある。
「今まではマイル戦で意識的に後ろからの競馬ばかりさせていたが、決して差し、追い込み専用というわけではないんだ。もう、どのような展開、ペースでも十分に対応できる」と伊藤正師は自信をのぞかせた。
前走後も順調そのものだ。ポリトラックでの追い切りを4本消化し、先週の23日(土)には5F64秒3、上がり3F36秒5→11秒7(一杯)の好時計。調教の動きひとつとっても、善戦マンの殻を破ったように見えるから不思議だ。
「勝ったからいうわけではないけど、ようやく完成形に近づきつつあるね。もちろん、ここでもの気持ちだよ」
もともと素質はGI級とうたわれていた好素材。勝ち癖が身についた今なら、ここは通過点に過ぎないか。